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湘南ビール(熊澤酒造)のMOKICHI CRAFTBEERに行ってきた(前編)

どぶろくの話を調べていて、たまたま知った事実。湘南ビールの醸造元として有名な茅ヶ崎市の日本酒蔵、熊澤酒造は、明治5年(1872年)の創業当時は自家製米を使ってどぶろく醸造し売り出すところから始まった蔵であるそうな。そしてその後歴史が下って熊澤酒造は清酒の蔵へと移行し、1996年には地ビールの醸造も始める。これが湘南ビールとなるわけだが、さらに同蔵の140周年記念となる2012年からは、その他醸造酒(濁酒)の製造免許を新たに取得して先祖帰りともいえるどぶろく醸造を再開したそうだ。たしかに熊澤酒造のどぶろくは時折目にすることがあり気になっていたが、そんな来歴あって出来た製品なわけね。

藤沢駅近くの直営ビアバー MOKICHI CRAFTBEER

まあ、そのどぶろくの話を調べたからというわけでは全くないのだけれども、藤沢駅の近くに熊澤酒造の直営ビアバーがあると耳にしたので、ちょっくら行ってきた。以前このブログでトピック立てて紹介していたとてもレアなもの(しかも2つ!)にも遭遇したので、そちらもちょっと興奮しつつレポートしよう。

MOKICHI CRAFTBEERのある場所は、藤沢駅南口から小田急百貨店の左側を抜けて徒歩3分くらい歩いたところ。ガラス張りで内部が見えるようになっているのと、樽が店の前に置いてあるのが目印。

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内装はとってもおしゃれだけれど、古い木を使ったテーブルや椅子が暖かみを感じさせる。農家に上がり込んで食事をするようなイメージも感じられて、なんというか居づらさがない感じ。

料理はイタリアンを基本として、ビアバーだけれども結構ガッツリとしたものもある。湘南野菜を使っていたり、自家製のパンであったりと、藤沢駅近辺で探すイタリアンレストランとしても大いに訴求力がありそうである。

工場直送の湘南ビールを

肝心のビアバー部分だけれども、生ビールのタップ数は12で、同社工場から毎朝直送されるビールが愉しめる。湘南ビールのラインナップって12種類もあったかいな?と疑問に思ったのだけれども、メニューには同社の聞いたこともない限定ビールが大半を占めている。なるほどサンクトガーレンなどは企画もののビールも含めてボトル売りで量販店に出しているけれども、湘南ビールは基本ラインナップ以外はボトルで出ず、基本的にはビアバーで出会うしかないのだ(そういえば、フェスで基本ラインナップ以外に出会うことも少ない)。まだまだこのブルワーを知らなかったなという気持ちがしきり。

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お得な3種類テイスティングセット(1080円)があったので注文。デュベルトリプルホップでも使われたエキノックスホップを使ったIPAとか、作っていたことを全く知らなかった。

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テイスティングセットにはおつまみ用のモルトがついてくる。こういう趣向は新潟の八海山泉ビレッジでもあったなと思い出しつつ齧る。結構量が多いのと、モルト自体が骨太の風味を持っているので、ビールによっては肝心の味や香りが分かりにくくなってしまうというのがちょっと残念。

MOKICHI CRAFTBEERと銘打ちながら、やっぱり熊澤酒造は日本酒蔵であるわけで、同社の日本酒『天青』のラインナップも充実していた。こちらも唎き酒セットが用意されていたりして、本当に悩ましい。いくら呑んでも酔わない身体が欲しくなる。

『天青』のファンにも魅力的なお店かもしれない

 

というわけでエントリも長くなってきたので、レアものとの邂逅は次回、後編で書く!

秦野たばこ祭り 来年から秦野アルコール・タバコ・火器及び爆発物祭りに

神奈川県秦野市で毎年9月に行われる、同市最大のイベント「秦野たばこ祭り」。かつて秦野市でたばこ栽培が盛んであったことに因んで行われる催しで、今年で70回目を迎える。

秦野たばこ祭りに名称変更の継続的要望

そのたばこ祭りであるが、秦野市内でのたばこ栽培は1984年に既に終了しており、催しの内容もたばことは全く関係ないこの祭の名称を変更するべきだという要望が毎年取り沙汰される。確かに世界的にみても喫煙を制限する風潮は強く、また国内においても喫煙者数の減少とそれに伴った非喫煙者による喫煙習慣への嫌厭が無視できないものとなってきたことにより、たばこ祭りという名称を使い続けることによるイベント内容への誤解や拒否反応も珍しくはなくなってきた。そこで70回目の開催をひとつの節目として、より親しみ易く国際的な名称への変更がたばこ祭りの実行委員会により検討されるに至った。

新名称「秦野ATF祭り」

検討の結果、2018年開催の第71回より新名称「秦野アルコール・タバコ・火器及び爆発物祭り(略称:秦野ATF祭り)」を使用することが決定した。旧名称に含まれた「たばこ」については伝統を守るために存続させるが、その他の要素として「アルコール」「火器」「爆発物」を加えることにより、「たばこ」が表に出ない略称「秦野ATF祭り」の使用を推奨させる目論見だ。またこの変更により、イベントの国際的発信力なども同時に高めていくねらいだ。

イベント内容は特に変更なし

名称の変更に伴うイベント内容への影響についてだが、特に変更される部分はないと予測されている。「たばこ」部分については以前から無関係であった上、「火器」「爆発物」については、最終日に打ち上げられる花火ないし期間中の夜を通じて行われる火まつり的部分を、むしろ正確に言い表している。

「アルコール」部分についてだが、これは先日秦野市内3ヶ所で行われた秦野どぶろく祭りを見ても分かるように、秦野市が東京都・神奈川県で初のどぶろく特区になる可能性を秘めているということで、充分に説明可能だ。むしろ特区に認定されたら、たばこ祭り会場でどぶろくの振る舞いなど、大いにコラボレーションを発揮して欲しい。

 

なお、名称変更にしたがって火器や爆発物の携帯・使用が許可されるようになるわけではない。特に祭の期間中は、フロートに搭乗する際のボディチェックなど、徹底した取り締まりも合わせて行われる模様だ。

 

 

 

 

…というわけで、4月1日に書いた嘘記事でした。そもそもの前提として、このブログの読者がATF(アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局)を知っているのかという疑問が。でも今後も、読者の1000人に1人しかわからないネタを発信し続けるブログでありたい。

どぶろく『白川郷』は岐阜県大垣市で作られている

どぶろくの話題ばっかり、数エントリに渡って書いてきたが、そろそろ終息。どぶろく酒税法上のカテゴリや各地のどぶろく祭りを調べていて面白そうだなと思ったエピソードを紹介しよう。

白川郷のお土産用どぶろく白川郷

岐阜県大野郡白川村にある白川郷合掌造り集落。毎年10月に集落内の3つの神社(白川八幡宮・鳩谷八幡神社・飯島八幡神社)でそれぞれ別の日にどぶろく祭りが行われる。このお祭りのためのどぶろく醸造許可は、前エントリを含め何度も触れてきた、神社の祭事に合わせて特別に下りる醸造許可。祭の当日の境内での振舞いを基本とし、どぶろくの外への持ち出しや開催日以外での振舞い・販売ができない(もっとも、白川八幡宮内のどぶろく祭りの館という資料館では見学の最後にどぶろくを呑むことが出来るが。こちらも、管轄税務署の匙加減ってやつかもしれない)。

ところで、酒類大型量販店(特にイオン系列)に行くと、名前もそのまま『白川郷』という濁り酒が並んでいるのを目にすることもあると思う。

白川郷』の通常版(清酒

 

商品リンクのキャプションにも書いたが、酒税法上の区分では清酒になる。どうしてどぶろく一般がそうであるようにその他醸造酒(濁酒)の区分に入らないのかは、おさらいで下記エントリを読んでみてくださいな。

hadanon.hatenablog.comと、話が逸れそうになったけれども、あまりにこの『白川郷』を見かけることが多いので、白川郷どぶろく祭りの知名度にひっかけた便乗商品なのかと長らく思っていた。

実は白川郷のオフィシャル土産品的立場だった?

なにしろ、醸造元の三輪酒造が所在するのが、岐阜県大垣市である。白川郷とどれくらい離れているかは、直線距離でもじつに100km以上離れている。

それでも、三輪酒造では他社が白川郷どぶろくに目を付けるよりもずっと前に、この『白川郷』を製品として販売していたようだ。ホームページの紹介によれば、昭和49年にときの白川村村長に依頼されて、一年中販売可能などぶろくを製造・販売するに至ったというのだ。神社の祭事特例だと提供場所や持ち出しの縛りがあるし、当時はどぶろく特区の存在など露ほどもなかった。ということで、通年販売可能な『白川郷』は実質オフィシャルな土産品として白川郷どぶろくの関係を内外に広報し続けてきたのだ。

冷凍技術で火入れを行わない『白川郷

ただ、以前のエントリで紹介したように現在では酒造メーカーが作るどぶろく風濁り酒は珍しいものではなくなってきた。白川郷との距離的関係でいえば、直線距離で20km強離れた飛騨古川に渡辺酒造店というメーカーがあり、『飛騨のどぶ』という濁り酒を出している。白川郷どぶろくに近い味を求めようとして、そちらに手を出す観光客も多いだろう。

という事情もあってか、三輪酒造はこの『白川郷どぶろくのヴァリエーションを多彩にして、ただの濁り酒でなくより本物に近いどぶろくも取り揃えていることを売りにしようとしているように見える。より本物に近いということで、まず酒税法上のカテゴリが清酒でなくその他醸造酒(濁酒)となるような"漉さない"どぶろくという方向性がある。そして、通常店頭に並んでいるどぶろくが製造段階で火入れをして発酵を止めてしまっているのに対して、火入れを行わない出来立てどぶろくに近い製品をラインナップに用意している。

火入れなしの発酵中のどぶろく製品は、どぶろくと濁り酒の違いについて調べたエントリ(↑上に貼ったサムネイル付リンクと同じ)で紹介した武重本家酒造の『十二六』などがあるのだが、発酵中のものなのでバクハツあるいは酸っぱくなってしまう前に売り切らないと行けない事情から、季節限定予約製造販売である。一方、三輪酒造の場合には、発酵状態のどぶろくを冷凍してしまうことで輸送・保管中の発酵を止めてしまい、その結果通年販売を実現している。

冷凍しても酵母は全滅するわけではないので、解凍後発酵が進む

 

なるほどこれを解凍して振舞えば、季節を問わず自宅で本格的などぶろく祭りが開催できるだろう(笑)。

どぶろくの販売を実現するための様々な工夫を見ていると、厄介な酒税法を挟んで、日本人のどぶろくに対する執念のようなものが見えてくるのである。

神社に与えられたどぶろく醸造特例には謎が残るのである

前回のエントリでは、どぶろく特区という制度が創設されて以降の全国のどぶろく祭りが、3カテゴリくらいに分かれるんじゃないかという話を書いた。

hadanon.hatenablog.comその中でも特殊と言える形態が、神事としてどぶろく醸造を行ってきた神社に特例的に与えられた醸造許可を根拠として行われているとされるどぶろく祭り。この特例が具体的にどのようなものなのか酒税法国税庁ホームページを中心にあたって調べているのだが、そういった記述に行き着いていない。つまりわからない。

神社への醸造特例では製法を問われることがない?

ただ、一つ興味深い事例として出てきたのが、飛騨国一宮水無神社の例。毎年5月1日・5月2日の祭事でどぶろくをふるまうのだが、それまで祭事特例として醸造が許可されていたものが平成17年より「臥龍桜の里・一之宮どぶろく特区」による醸造許可に変わるにあたって、伝統製法にあったどぶろくを漉す過程というのが除かれることとなったというのだ。つまり、神社に特例的に与えられた醸造許可では製法について口を挟まれることはない(実際、神事ということで口噛みで作っている所もあると聞く)。また、提供する酒が酒税法上のその他醸造酒(濁り酒)でなくとも問題はない、ということであるようだ。

神社のどぶろく祭りのどぶろく販売について

祭事の特例を根拠に行われているどぶろく祭りに行ったことがあるなら知っているだろうが、境内の周辺には警察が待機していて、振る舞われたどぶろくが境外に出てしまわないよう目を光らせている。また、持ち帰り用のどぶろくについては販売品でなく、あくまで神社に対する奉納への返礼という扱いになっている。消費税等が価格に乗せられることもない。

ただこの"奉納の対価たるどぶろくのみ境外に出ることが出来る"という原則にも例外事例が見つかる。先のエントリでも紹介した大分県杵築市の白鬚田原神社のどぶろく祭りだが、通常の境内でのふるまいと奉納の対価として持ち出し可能などぶろく以外に、車の運転手が駐車場で引換券を貰い、タッパーに入れてもらって持ち帰りができるどぶろくというものが存在するらしい。飲酒運転を避けるための措置であろうが、こうなってくると神社のどぶろく醸造特例について厳格なルールが存在しているわけでなく、各地方の管轄税務署のさじ加減次第でルールが決められていると考えた方がよろしいのではないだろうかという気がしてくる。

 

かように謎が多いどぶろく醸造の特例だが、ルールが明文化され示されていないのは、神道という特定宗教に対する肩入れを指摘されると困るからだったりするのだろうか。祭を楽しむ側としては伝統的なものが残ったままであるのが嬉しいが、もしかしたらこの特例の扱いは国にとっては困りものであるのかもしれない。

"どぶろく祭り"にも3種類ほどカテゴリがありそう

前回のエントリで何気ない好奇心からどぶろくと濁り酒の違いを調べてみたら、調べ物が膨らんで膨らんで、大変である(笑)。とりあえず当初の疑問は秦野どぶろく祭りという祭がどぶろく特区でもない秦野市でどうして開催できるのかというものだったので、素直にその疑問を解決するエントリだけでも上げてしまおう。

前回のおさらい どぶろくと濁り酒の違い

前回長々と説明したエントリがこれ。

hadanon.hatenablog.com要約すると、どぶろくと濁り酒の違いは、濾過を経ているかいないかのみ(濾過をしないとどぶろく)。そして酒類製造免許のカテゴリが異なるので、酒造メーカー的には濾過工程を加えてどぶろく清酒カテゴリで発売した方が税率的に有利。一方醸造量が規定値に満たない個人や団体が、どぶろく特区という特例の力を借りてどぶろく醸造することが出来るが、この場合濾過をしないどぶろくのみが許される。

"どぶろく特区"の概要

それではどぶろく特区とはどういったものか。端的に言うと、特区に指定されたエリアの農家は自家製米を使ってどぶろくを製造・販売しても良いという内容である。

歴史的に見て、元々自家製酒(その大部分がどぶろく)というのは各家庭が勝手に作ることの出来たものなのだが、大日本帝国日清戦争に勝利した後、(日露戦争前夜でもあったので)富国強兵のためにお金が必要になって酒税の増税を行った。その際に自家製酒の製造も禁止されてしまったのだ。なにしろ酒造メーカーから巻き上げる酒税が明治政府の税収の4割を占めたこともあるという。そりゃあ自家製酒を取り締まって、課税対象となる酒(=酒造メーカー製の酒)のパイを最大化し続けないといけない。

ということあって、長らく民間レベルでのどぶろくの製造は禁止されていた。それが、小泉政権下で提唱された構造改革特区のひとつとしてどぶろく特区が登場し、特区指定を受けた自治体で原料米の生産者がその他醸造酒の酒類製造免許を取得すれば、醸造量に関わらずどぶろく醸造や特区内での提供・販売が許可されるようになったのだ。

でも現状秦野市どぶろく特区になっていないが…

国税庁ホームページを検索すると、平成28年度時点でどぶろく特区となっている自治体のリストがヒットする(PDFリンク)。リストを見ても、秦野市どころか神奈川県(ついでに東京都も)の自治体の名前が出てこない。それなのにどうして秦野市で毎年どぶろく祭りを行うことが出来るのかというと、前回のエントリでも触れたがどぶろく祭りで振る舞う『秦野てんてこまい』という酒を醸造しているのが酒造メーカーだからだ。そして、厳密には濾過をして瓶詰めを行っているので、酒税法のその他醸造酒(濁酒)カテゴリではない。

つまり、どぶろく祭りという名前だが、実際振る舞っているものはどぶろく清酒なのである。そして、その違いは濾過しているかしていないかに過ぎないので、別に悪質な詐称というわけでもない。このタイプの祭が、どぶろく祭りの1つ目のカテゴリになる。

どぶろく特区で行われるどぶろく祭り

もう一つのどぶろく祭りが、これまで説明してきたどぶろく特区で醸造を認められた生産者が主催するどぶろく祭り。Googleでランダムに検索してみて、山形県飯豊町宮城県大河原町高知県三原村などの例が見つかった。飯豊町大河原町のものは、特定の祭日に行うイベントのことをどぶろく祭りと称するのでなく、どぶろくを提供できる期間全体を指してどぶろく祭りと称しているようだ。このタイプのどぶろく祭りで提供されるどぶろくは、法律上間違いなくその他醸造酒(濁酒)にあたるだろう。

神事として特別に認められるどぶろく祭り

最後のタイプである。一般にどぶろく祭りというと、岐阜県白川郷で行われるものや大分県杵築市白鬚田原神社で行われるものがイメージされるのではないだろうか。これらの神事としてのどぶろく祭りは、明治の時代に酒造メーカー以外のどぶろく醸造が禁止されてからどぶろく特区による規制緩和が行われるまでもずっと続いてきた。そして、現在もどぶろく特区による許可を根拠としてどぶろく祭りを開催しているわけではない。

どうやら国税庁によって神事としてのどぶろく醸造が認められた神社が全国に40社ほどあり、白川郷の3社や白鬚田原神社などはこの特例を根拠としてどぶろく祭りを行っているのだ。そりゃあ、明治時代に出来た法律がどぶろく醸造禁止の根拠なのだから、神社の神事には特例的配慮があるのも頷ける。

最後に完全に余談になるが、濁酒でない清酒醸造に特例的配慮がされている神社も全国で4社あるらしい。それが伊勢神宮出雲大社、千葉県南房総市の莫越山神社、山口県宇部市の岡崎八幡宮となる。この4社、神社好きで酒好きならば制覇してみたくなる。

結論

ということで、秦野市の秦野どぶろく祭りはどぶろく特区によるどぶろく祭りではなく、現状振る舞っている酒も厳密などぶろくではないという結論が出た。ただ、原料米の生産という点においては既にクリアが出来ているので、今後秦野市のどぶろく特区認定(神奈川・東京で初!と話題性も充分)と、真のどぶろくの振る舞いに期待して待っていても良いのではと思っている。

どぶろくと濁り酒の違いについて調べてみた

毎年3月初旬の土日に、秦野市ではどぶろく祭りというイベントが行われる。今年で15回目を迎えるこの催し、四十八瀬川自然村というNPO法人が主催するもので、秦野市沼代の御嶽神社、それから秦野駅前のまほろば大橋、それから渋沢駅北口広場と3会場で"どぶろく(濁り酒)"の無料振舞いが行われる。

"どぶろく(濁り酒)"という表記は一体何?

"どぶろく(濁り酒)"と表記したのは、決して読者のことを見くびって、「こいつらどうせどぶろくの存在も知らないだろう。濁り酒のことだよ。この機会に無い脳味噌に刻み付けろYO!」と思ったからではない。どぶろく祭りの開催を報じる記事や観光協会の紹介で必ずこのような表現が使われているからだ。そして調べてみると、どうやらどぶろくと濁り酒というのは本来別物であり、しかしながら一般的に"濁り酒まつり"と銘打つより"どぶろく祭り"とした方が認知され易いだろうとの理由で、どぶろく祭りとなっているようである。

では、"どぶろく"と"濁り酒"の違いとは?

すると気になるのは、"どぶろく"と"濁り酒"の違いであろう。この2つの酒の違い、酒米に麹を加えて発酵させた後に出来た液体を、漉しているかいないかの違いであるという。どぶろくの場合は無濾過で、米の塊がそのまま液体に入った状態で完成である。そして濁り酒であるが、酒税法上の区分では一度でも漉しているから清酒の扱いになる。漉した結果透き通った液体になった場合でも、粗めに漉して米の塊が少し残っていた場合でも、等しく清酒である。少し前のエントリで金井酒造店の白笹つづみにごり酒を呑んだレポを書いたけれども、確かにラベルには清酒と表記がされていた。

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酒税法上での細かい違い

濁り酒については"清酒"の区分となり、かかる酒税は従量課税で1klあたり120,000円となっている。そして蒸留酒等と異なり、アルコール度数による加算額は無い。また、醸造規模が小さい場合(醸造者の前年課税移出数量が1300kl以内)には、当年の200kl分まで課税額が10〜20%割り引かれる。そして、東日本大震災でダメージを受けた醸造者はさらに6.25%の軽減がある。

どぶろくの区分は"その他の醸造酒"であり、ラベルでは"濁酒"と記載される(ややこしい)。酒税は従量課税で1klあたり140,000円となる。アルコール度数による加算額が無いのは同じ。

その他細かい違い

清酒の場合には、清酒の製法品質表示基準があるので、たとえば製造年月をラベルに記載しなければならない等の規則がある。その他の醸造酒であるどぶろくの場合にはこの規則が適用されない。ちなみに、賞味期限の表示義務は清酒であろうとなかろうと無い。

どぶろくは誰が醸造できるのか

秦野どぶろく祭りで振る舞われる『秦野てんてこまい』のように日本酒蔵に醸造を委託する場合は、かかる酒税を考慮すると濁り酒(清酒)として製品化した方が得であろう。また、程度に関わらず一度でも漉してしまうと清酒の扱いになるため(上澄みを取るのもアウトである)、取り回し等を考えてもどぶろくその他の醸造酒)カテゴリにこだわる必要性は無い。カテゴリの違う酒を醸造する場合、新たな製造免許の取得が必要となるということも、日本酒蔵のどぶろく清酒カテゴリに収まりがちな理由のひとつだろう。

それではどぶろくカテゴリの必要性がどこにあるのかというと、日本酒蔵のような醸造規模を持たない個人や団体が醸造を行う場合である。酒類製造免許の取得要件には、年間の醸造量が(免許の種類にもよるが)最低6kl(約3326升)以上であるというものがあり、これは勿論、個人の醸造規模を大幅に超えている。免許を付与されることなく勝手にどぶろく醸造してしまえば個人の愉しみの範囲でもアウトである(そしてその法律的根拠は、お上が酒税を取り損ねるからというもののみである。過去にはその妥当性が裁判で問われたこともあった)のだが、醸造を行う地域がどぶろく特区に指定されている場合には、その地域内でその他の醸造酒製造免許を取得するのに最低醸造量の規定が撤廃される。

個人・団体のどぶろく醸造のためのハードル

勿論、その他の醸造酒製造免許取得のための醸造量以外の要件は満たしていないといけない。具体的には、申請者に国税地方税の滞納歴が無いことや、醸造に必要な設備が揃っていること、そして醸造場所が適当であること等々。

また、加えてどぶろく特区の特例による酒類製造免許取得の場合には制限が追加される。農業者が自ら作った米を原料として醸造するどぶろくを、特区内でのみ製造・提供できるというのが原則。米以外の原料については自家製でなくても問題ないが、どぶろくの製造であるので絶対に漉してはならない。

結論:どぶろくと濁り酒に味の違いはない

以上のことを鑑みると、どぶろくと濁り酒の違いというのは原料や発酵方法の違いなどではなく、酒税法上の区分や酒類製造免許の許可区分の差である。なにしろどぶろくをそのままの状態でなく少し漉したり上澄みをすくったりするだけで、カテゴリーが変わってしまうのだから。

大型酒販店に行くと、どぶろくを模した濁り酒製品が棚に並んでいることもあるが、それらが酒税法上"清酒"と表記されているからといって、「この製品は本格的などぶろくじゃないなぁ」と決めつけるのは間違っている。まず本質はそこではないことを頭に入れないといけない。

ただその上で、酒造メーカー各社が色々工夫をして市販品にどぶろくを再現しようとしていることも、併せて見てみると面白い。先程酒造メーカーが清酒カテゴリ以外で濁り酒を出す必要性があまり無いと書いたけれども、そのことを逆手に取ってあえて"濁酒"表示の製品を出すことで、他社製品は本格的ではなく、うちこそが本当のどぶろくを作っている!と差別化を図ることもできるわけである。第三のビールと同じく、酒税法区分に振り回されているきらいがあるけれども。

余談:同じにごり酒でもカテゴリは様々

各メーカーそれぞれ、何を優先しているかが垣間見えて面白いかも。

どぶろく特区についても調べてみて面白かったので、そちらも次の機会にまとめようと思う。

まとめました

秦野駅北口のデッキ工事が3月8日(水)より開始 完成後は大秦ハイツに直結

秦野盆地への玄関口、小田急小田原線の秦野駅。この秦野駅で下車して北口ペデストリアンデッキに立つと、ああ田舎秦野にやってきたのだなと旅行者は感動することになるだろう。

何しろ眼前にそびえるのは、山である。遠景ではなく、非常に近い場所に山がある。そして山との間には水無川が流れており、広々とした橋が架かっている。小田急小田原線の駅前というとどうも閉塞感があるイメージだが、秦野駅については田舎っぽさと都会っぽさを併せ持ち、攻守最強であると評価できよう(南口は、無視します)。

ペデストリアンデッキと大秦ハイツの工事

さて、そんな重要な役割を持った秦野駅北口のペデストリアンデッキであるが、3月8日(水)より伸長工事が行われるらしい。伸長といっても、全体的に広くなるのではなく、ロータリー左手の歩道部分に覆い被さるように幅員5.5m、長さ51.7mの伸長となる。

どういった目的で伸長が行われるのかというと、秦野駅北口左手にあった大秦ハイツ(大秦ショッピングセンターが入居していた建物)を建て直すとともに、その3階部分にデッキを直結させるらしい。何のために?わからない!新大秦ハイツは完成すると地上が10階地下が1階の、地上4階以上が住居部分となるそうだが、ペデストリアンデッキがくっついても秦野駅の利用者がみな大秦ハイツの商業テナント部分(大秦ショッピングセンター)を経由して降りるわけではない。さては今回の大秦ハイツの建て直しについて、住人に対して相当の譲歩があってやっとこさ実現できたのだろうなと勘繰ってしまう。

秦野駅BeforeAfter

というわけで、現在大秦ハイツがあった場所は工事中である。旧大秦ハイツは秦野駅前の象徴的存在であったため、がらんどうとした風景は少しさみしい。これがBefore。

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そして現在の様子。

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新大秦ハイツの完成は、当初2017年8月末ということであったらしいが、五輪需要で建設関係者の手配が間に合わず2018年4月となるらしい。秦野駅前を象徴する、スゴい建物を作ってほしいものだ。