秦野でSEOなどしつつ神奈川県ネタブログ

秦野市でSEOしつつ、神奈川県ご当地ネタ・地域情報を書くブログ。湘南・小田急線・グルメ・温泉がマイブーム。

弘法山公園に東海大学前駅方面から登ってみる

"ハダ恋桜"キャンペーンで、頂上にある2000本の桜を眺めに登山する人も多いであろう、秦野市弘法山公園。

hadanon.hatenablog.com

この弘法山公園に登るためのルートは、いくつか存在する。その内私が普段使っているものは、秦野盆地方面から登る場合には県道71号線の河原町信号を越えて、カラオケ本舗まねきねこの向かい側から案内板にしたがって登るもの(浅間山を経由していく)と、71号線をもう少し進んだところにあるはだのクリーンセンターの脇から入るもの(浅間山を経由しない)。逆側から登る場合は鶴巻温泉駅から案内板にしたがっていくものである。(参考リンク:秦野市観光協会

気になっていた"東海大学前駅"標識

普段の登山ルートはそんな感じなのだが、ハイキングコースを歩いていると"東海大学前駅"という木製の矢印標識があり、東海大学前駅に直接抜けることの出来るルートが存在するのか、と気になっていた。そこで、今年の弘法山公園登山はルート調査のため東海大学前駅から登ってみようと思い立ち実行することにした。

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東海大学前駅からはるばる

小田急線で東海大学前駅で下車。どうも登山口は駅のかなり西側にあるようなので、線路北側を並走してとぼとぼ歩く。

小田急線の線路とは一度別れてしまい、道なりに進んでいくとまた並走の形となる。並走に戻る辺りには、秦野市出身の歌人前田夕暮の生家兼矢名学校跡地を示す碑がある。

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間もなく東名高速の高架にぶつかるので、下をくぐってさらに進む。イマイチ何をモチーフにしているのか判らない、可愛らしい道祖神を発見。

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高架をくぐって2つ目くらいの曲がり角で、案内標識を発見。

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確かに弘法山を示す矢印がある。で、矢印の通り進むと天社神と道祖神がある。今回の行き方ではこの分岐を左に行った。

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けれども、あとあと地図を見て判ったのだが、この案内標識のある所では曲がらずに、一つ先の信号のある曲がり角で曲がった方がわかりやすい。そちらを推奨。

南矢名八幡神社の本殿脇から登山ルートが

信号の角をまっすぐ北に行くと、自治会館と公園が横目に見える。さらに正面つきあたりに階段があって、それを上るとまた公園がある。下の写真は2つ目の公園から上ってきた方を振り返ったもの。

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で、進行方向にまた階段があるので上る。

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階段を上りきって左側に行くと、正面に南矢名八幡神社の鳥居が見えるはずである。

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特徴的な両部鳥居(台輪がないので根腐れしてきている)の傍らに何故か椅子が。

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階段があるので上りきって、社殿を拝む。

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左手に弘法山への標識があるので、そこから登山。

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結構急な山道を登ると、こんな感じで弘法山と権現山の境辺りに出る。

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東海大学前駅ルートの有用性は?

この東海大学前駅ルートを使ってみた感想だけれども、特に道中が楽しいわけではなく、また東海大学前駅という表示の割にはそれほど駅から近くない。普通に71号線から入ったり鶴巻温泉駅方面から来た方が早く山道に入れそうである。近辺に住んでいるなら使って便利といった程度のルートだろう。

また、このルートを登りきって出てくる場所が弘法山と権現山の中間辺りというのも、どうにも中途半端な感じがする。展望台にすぐ行きたいのならクリーンセンターの横から入れば良いし、運動目的でハイキングコースを制覇したいのだったら秦野駅方面ないし鶴巻温泉駅方面からフルで歩きたいだろう。

というわけで、個人的にこのルートを再び使うことはなさそうである。

"ハダ恋桜"を見に秦野市弘法山公園(権現山展望台)へ

秦野市ではいま観光PRのひとつとして、桜の名所が沢山ある自治体ということを売りにしようとしている。そのため、"ハダ恋桜"というフレーズを今年新たに開発して、市内いたるところにノボリを立てたり、小田急線の車内映像広告を打ったりとアピールに余念がない。

"ハダ恋桜"のひとつ 弘法山公園

この"ハダ恋桜"キャンペーンの軸となる、秦野市の桜の名所が3つある。1つは神奈川県内一の長さを誇るという桜並木、はだの桜みち。もう1つは秦野駅前から見える河川でもある水無川沿いの、秦野カルチャーパーク周辺の桜。そして最後のものが、絶対遭難しない初心者向けハイキングコースとして年配者にも人気な弘法山公園山頂付近の桜である。

弘法山公園の桜については、昨年も足を運んでエントリにしたためていた。

hadanon.hatenablog.com

"ハダ恋桜"になったことで特にこの弘法山公園の桜が変わったわけではないと思うが、折角の桜の季節、ここの2000本の桜はハズレもなく楽しめると思うので、今年も登ってみることにした。

権現山展望台からの展望と桜

昨年は弘法山の大師堂開帳も見たのだが、今年は登山口を変えてみたため弘法山の方には登らず。展望台がある権現山に一直線で向かった。

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提灯は夜間に発光して桜のライトアップがされる。ちなみに当初のライトアップ予定は4月9日(日)までだったが、桜の開花が予想以上に遅れたので4月16日(日)までライトアップがされることとなった。カルチャーパーク周辺のライトアップと合わせて要チェックである。

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この奥に見える階段が、権現山展望台への道である。

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階段を使わずに右から攻める道もある。むしろ頂上から下り方を間違えると右の道から帰ってきてしまいビックリする(笑)。

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頂上。花見客も結構いる。

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この建物が展望台。そしてハダ恋桜のノボリがこんなところでもアピール!

展望台から頂上の広場を見下ろすとこんな感じで。

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そして、秦野市街方面を眺める。土地勘があれば、おおーカルチャーパーク付近の桜もめっちゃ咲いてるーと判る。

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天気がよければ、この頂上から富士山が見えるはず。この日は江ノ島は余裕で見えたけれども、富士山の姿は見えなかった。富士山と満開の桜の共演を見に来た人にとっては、"失恋桜"だったかもしれない。

MOKICHI CRAFTBEER(後編) ふじさわ生豚とグルートビールと

藤沢駅徒歩3分の場所にある熊澤酒造直営ビアバーのMOKICHI CRAFTBEER。前編では店の雰囲気とか、湘南ビールの3種飲み比べセットとかについて書いた。

hadanon.hatenablog.comこのビアバーで出会ったレアなものについては次回、後編で!とかこすっからい引きを書いたのだけど、今回のタイトルで全バレです。悪ははびこらない(笑)。

レアなもの1:ふじさわ生豚(藤沢産生ハム)

丁度1年とちょっと前に当ブログで紹介した、ふじさわ生豚。鵠沼魚醤という和製ナンプラーを作って販売している有限会社NORMAという会社が、特約店にしか卸さないというレア中のレア生ハムで、藤沢市で育てた高座豚を使った和製生ハムである。

hadanon.hatenablog.comそして、このMOKICHI CRAFTBEERが特約店なので、ディナータイムに行けば食べることができるのである。ルッコラとの盛り合わせが1280円ということで(前編で書き忘れたけれども、料理のお値段はわりとビアバー基準で高めだったりする)注文。

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まあ地場産品なのでブログで紹介はしたけれども、内心は国産の生ハムだから本場のものの劣化コピーだろう、そんな気持ちが全く無かったと言ったら嘘になる。

でも一口食べてみると、これがとても美味い!プロシュートやハモンセラーノとも異なる、癖になる風味である。とても脂身が強くさっぱり感はないのだけれども、そこに極限まで熟成された熟成肉の香りが相まって、口内が旨味成分で幸せになる。これはビールやワインと合わせるよりも、断然吟醸酒の方が良いかもしれない。丁度メニューにも並んでいるしね!

レアなもの2:グルートビール(若気狂宴)

このレアなものは、たまたま店に行った時のビールのラインナップに入っていたもので、この店に来れば必ず呑むことが出来る、というものではない(むしろ、同様の企画が行われないとどこでも呑めないだろう)。

これも以前ブログで紹介していたことだが、ビールの香り付けがホップに一元化される16世紀以前にヨーロッパで作られていた香草添加ビールがグルートビールである。

hadanon.hatenablog.comそんなロストテクノロジーを復活させようという試みは、国外ではいくつかあるものの、国内ではキリンビールが実験的に行ったものくらいしか思いつかない。

それが先頃、なにかと実験的なビールを出すうしとらブルワリーが中心となって、南信州ビール、湘南ビール、シャトーカミヤ牛久ブルワリー、ヤッホーブルーイング、ベアードブルーイング、ブルーマジックの30代ブルワーがよってたかって造りたいビールを仕上げた。それが題して若気狂宴(じゃっききょうえん)!

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お味の方は、ホップが全く入っていないのでビールらしい苦味の爽快感があまりない。そして添加された複雑なハーブ香だが、これが凄くデザインされた香りに感じられてしまって、LUSHの店舗の前で漂ってくるような香り?イメージの刷り込みとは怖いものである。

つまり、試みとして本当に素晴らしいと思って注文するけれども、2杯目3杯目を頼もうとはあまり思わないので…おそらく全国のビアバーでそういう評価だったろうから、グルートビールのプロジェクトが再び立ち上がる可能性は低いままじゃないかと思う。

ただ(強調)、ホップを加えたビールと異なり、グルートには無数の組み合わせの可能性が残っているのである。実際今回のものが中世に呑まれていたグルートビールの決定版的再現ということは絶対に無いだろうし、まだ可能性の扉をやっと開けた状態なのである。ということで、グルートビールについては今後も色々なブルワーが挑戦して欲しいと切に願うわけです。

湘南ビール(熊澤酒造)のMOKICHI CRAFTBEERに行ってきた(前編)

どぶろくの話を調べていて、たまたま知った事実。湘南ビールの醸造元として有名な茅ヶ崎市の日本酒蔵、熊澤酒造は、明治5年(1872年)の創業当時は自家製米を使ってどぶろく醸造し売り出すところから始まった蔵であるそうな。そしてその後歴史が下って熊澤酒造は清酒の蔵へと移行し、1996年には地ビールの醸造も始める。これが湘南ビールとなるわけだが、さらに同蔵の140周年記念となる2012年からは、その他醸造酒(濁酒)の製造免許を新たに取得して先祖帰りともいえるどぶろく醸造を再開したそうだ。たしかに熊澤酒造のどぶろくは時折目にすることがあり気になっていたが、そんな来歴あって出来た製品なわけね。

藤沢駅近くの直営ビアバー MOKICHI CRAFTBEER

まあ、そのどぶろくの話を調べたからというわけでは全くないのだけれども、藤沢駅の近くに熊澤酒造の直営ビアバーがあると耳にしたので、ちょっくら行ってきた。以前このブログでトピック立てて紹介していたとてもレアなもの(しかも2つ!)にも遭遇したので、そちらもちょっと興奮しつつレポートしよう。

MOKICHI CRAFTBEERのある場所は、藤沢駅南口から小田急百貨店の左側を抜けて徒歩3分くらい歩いたところ。ガラス張りで内部が見えるようになっているのと、樽が店の前に置いてあるのが目印。

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内装はとってもおしゃれだけれど、古い木を使ったテーブルや椅子が暖かみを感じさせる。農家に上がり込んで食事をするようなイメージも感じられて、なんというか居づらさがない感じ。

料理はイタリアンを基本として、ビアバーだけれども結構ガッツリとしたものもある。湘南野菜を使っていたり、自家製のパンであったりと、藤沢駅近辺で探すイタリアンレストランとしても大いに訴求力がありそうである。

工場直送の湘南ビールを

肝心のビアバー部分だけれども、生ビールのタップ数は12で、同社工場から毎朝直送されるビールが愉しめる。湘南ビールのラインナップって12種類もあったかいな?と疑問に思ったのだけれども、メニューには同社の聞いたこともない限定ビールが大半を占めている。なるほどサンクトガーレンなどは企画もののビールも含めてボトル売りで量販店に出しているけれども、湘南ビールは基本ラインナップ以外はボトルで出ず、基本的にはビアバーで出会うしかないのだ(そういえば、フェスで基本ラインナップ以外に出会うことも少ない)。まだまだこのブルワーを知らなかったなという気持ちがしきり。

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お得な3種類テイスティングセット(1080円)があったので注文。デュベルトリプルホップでも使われたエキノックスホップを使ったIPAとか、作っていたことを全く知らなかった。

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テイスティングセットにはおつまみ用のモルトがついてくる。こういう趣向は新潟の八海山泉ビレッジでもあったなと思い出しつつ齧る。結構量が多いのと、モルト自体が骨太の風味を持っているので、ビールによっては肝心の味や香りが分かりにくくなってしまうというのがちょっと残念。

MOKICHI CRAFTBEERと銘打ちながら、やっぱり熊澤酒造は日本酒蔵であるわけで、同社の日本酒『天青』のラインナップも充実していた。こちらも唎き酒セットが用意されていたりして、本当に悩ましい。いくら呑んでも酔わない身体が欲しくなる。

『天青』のファンにも魅力的なお店かもしれない

 

というわけでエントリも長くなってきたので、レアものとの邂逅は次回、後編で書く!

秦野たばこ祭り 来年から秦野アルコール・タバコ・火器及び爆発物祭りに

神奈川県秦野市で毎年9月に行われる、同市最大のイベント「秦野たばこ祭り」。かつて秦野市でたばこ栽培が盛んであったことに因んで行われる催しで、今年で70回目を迎える。

秦野たばこ祭りに名称変更の継続的要望

そのたばこ祭りであるが、秦野市内でのたばこ栽培は1984年に既に終了しており、催しの内容もたばことは全く関係ないこの祭の名称を変更するべきだという要望が毎年取り沙汰される。確かに世界的にみても喫煙を制限する風潮は強く、また国内においても喫煙者数の減少とそれに伴った非喫煙者による喫煙習慣への嫌厭が無視できないものとなってきたことにより、たばこ祭りという名称を使い続けることによるイベント内容への誤解や拒否反応も珍しくはなくなってきた。そこで70回目の開催をひとつの節目として、より親しみ易く国際的な名称への変更がたばこ祭りの実行委員会により検討されるに至った。

新名称「秦野ATF祭り」

検討の結果、2018年開催の第71回より新名称「秦野アルコール・タバコ・火器及び爆発物祭り(略称:秦野ATF祭り)」を使用することが決定した。旧名称に含まれた「たばこ」については伝統を守るために存続させるが、その他の要素として「アルコール」「火器」「爆発物」を加えることにより、「たばこ」が表に出ない略称「秦野ATF祭り」の使用を推奨させる目論見だ。またこの変更により、イベントの国際的発信力なども同時に高めていくねらいだ。

イベント内容は特に変更なし

名称の変更に伴うイベント内容への影響についてだが、特に変更される部分はないと予測されている。「たばこ」部分については以前から無関係であった上、「火器」「爆発物」については、最終日に打ち上げられる花火ないし期間中の夜を通じて行われる火まつり的部分を、むしろ正確に言い表している。

「アルコール」部分についてだが、これは先日秦野市内3ヶ所で行われた秦野どぶろく祭りを見ても分かるように、秦野市が東京都・神奈川県で初のどぶろく特区になる可能性を秘めているということで、充分に説明可能だ。むしろ特区に認定されたら、たばこ祭り会場でどぶろくの振る舞いなど、大いにコラボレーションを発揮して欲しい。

 

なお、名称変更にしたがって火器や爆発物の携帯・使用が許可されるようになるわけではない。特に祭の期間中は、フロートに搭乗する際のボディチェックなど、徹底した取り締まりも合わせて行われる模様だ。

 

 

 

 

…というわけで、4月1日に書いた嘘記事でした。そもそもの前提として、このブログの読者がATF(アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局)を知っているのかという疑問が。でも今後も、読者の1000人に1人しかわからないネタを発信し続けるブログでありたい。

 

(追記)

第70回秦野たばこ祭のちゃんとした紹介エントリをこちらに書き直したので勘弁して下さい…

hadanon.hatenablog.com

どぶろく『白川郷』は岐阜県大垣市で作られている

どぶろくの話題ばっかり、数エントリに渡って書いてきたが、そろそろ終息。どぶろく酒税法上のカテゴリや各地のどぶろく祭りを調べていて面白そうだなと思ったエピソードを紹介しよう。

白川郷のお土産用どぶろく白川郷

岐阜県大野郡白川村にある白川郷合掌造り集落。毎年10月に集落内の3つの神社(白川八幡宮・鳩谷八幡神社・飯島八幡神社)でそれぞれ別の日にどぶろく祭りが行われる。このお祭りのためのどぶろく醸造許可は、前エントリを含め何度も触れてきた、神社の祭事に合わせて特別に下りる醸造許可。祭の当日の境内での振舞いを基本とし、どぶろくの外への持ち出しや開催日以外での振舞い・販売ができない(もっとも、白川八幡宮内のどぶろく祭りの館という資料館では見学の最後にどぶろくを呑むことが出来るが。こちらも、管轄税務署の匙加減ってやつかもしれない)。

ところで、酒類大型量販店(特にイオン系列)に行くと、名前もそのまま『白川郷』という濁り酒が並んでいるのを目にすることもあると思う。

白川郷』の通常版(清酒

 

商品リンクのキャプションにも書いたが、酒税法上の区分では清酒になる。どうしてどぶろく一般がそうであるようにその他醸造酒(濁酒)の区分に入らないのかは、おさらいで下記エントリを読んでみてくださいな。

hadanon.hatenablog.comと、話が逸れそうになったけれども、あまりにこの『白川郷』を見かけることが多いので、白川郷どぶろく祭りの知名度にひっかけた便乗商品なのかと長らく思っていた。

実は白川郷のオフィシャル土産品的立場だった?

なにしろ、醸造元の三輪酒造が所在するのが、岐阜県大垣市である。白川郷とどれくらい離れているかは、直線距離でもじつに100km以上離れている。

それでも、三輪酒造では他社が白川郷どぶろくに目を付けるよりもずっと前に、この『白川郷』を製品として販売していたようだ。ホームページの紹介によれば、昭和49年にときの白川村村長に依頼されて、一年中販売可能などぶろくを製造・販売するに至ったというのだ。神社の祭事特例だと提供場所や持ち出しの縛りがあるし、当時はどぶろく特区の存在など露ほどもなかった。ということで、通年販売可能な『白川郷』は実質オフィシャルな土産品として白川郷どぶろくの関係を内外に広報し続けてきたのだ。

冷凍技術で火入れを行わない『白川郷

ただ、以前のエントリで紹介したように現在では酒造メーカーが作るどぶろく風濁り酒は珍しいものではなくなってきた。白川郷との距離的関係でいえば、直線距離で20km強離れた飛騨古川に渡辺酒造店というメーカーがあり、『飛騨のどぶ』という濁り酒を出している。白川郷どぶろくに近い味を求めようとして、そちらに手を出す観光客も多いだろう。

という事情もあってか、三輪酒造はこの『白川郷どぶろくのヴァリエーションを多彩にして、ただの濁り酒でなくより本物に近いどぶろくも取り揃えていることを売りにしようとしているように見える。より本物に近いということで、まず酒税法上のカテゴリが清酒でなくその他醸造酒(濁酒)となるような"漉さない"どぶろくという方向性がある。そして、通常店頭に並んでいるどぶろくが製造段階で火入れをして発酵を止めてしまっているのに対して、火入れを行わない出来立てどぶろくに近い製品をラインナップに用意している。

火入れなしの発酵中のどぶろく製品は、どぶろくと濁り酒の違いについて調べたエントリ(↑上に貼ったサムネイル付リンクと同じ)で紹介した武重本家酒造の『十二六』などがあるのだが、発酵中のものなのでバクハツあるいは酸っぱくなってしまう前に売り切らないと行けない事情から、季節限定予約製造販売である。一方、三輪酒造の場合には、発酵状態のどぶろくを冷凍してしまうことで輸送・保管中の発酵を止めてしまい、その結果通年販売を実現している。

冷凍しても酵母は全滅するわけではないので、解凍後発酵が進む

 

なるほどこれを解凍して振舞えば、季節を問わず自宅で本格的などぶろく祭りが開催できるだろう(笑)。

どぶろくの販売を実現するための様々な工夫を見ていると、厄介な酒税法を挟んで、日本人のどぶろくに対する執念のようなものが見えてくるのである。

神社に与えられたどぶろく醸造特例には謎が残るのである

前回のエントリでは、どぶろく特区という制度が創設されて以降の全国のどぶろく祭りが、3カテゴリくらいに分かれるんじゃないかという話を書いた。

hadanon.hatenablog.comその中でも特殊と言える形態が、神事としてどぶろく醸造を行ってきた神社に特例的に与えられた醸造許可を根拠として行われているとされるどぶろく祭り。この特例が具体的にどのようなものなのか酒税法国税庁ホームページを中心にあたって調べているのだが、そういった記述に行き着いていない。つまりわからない。

神社への醸造特例では製法を問われることがない?

ただ、一つ興味深い事例として出てきたのが、飛騨国一宮水無神社の例。毎年5月1日・5月2日の祭事でどぶろくをふるまうのだが、それまで祭事特例として醸造が許可されていたものが平成17年より「臥龍桜の里・一之宮どぶろく特区」による醸造許可に変わるにあたって、伝統製法にあったどぶろくを漉す過程というのが除かれることとなったというのだ。つまり、神社に特例的に与えられた醸造許可では製法について口を挟まれることはない(実際、神事ということで口噛みで作っている所もあると聞く)。また、提供する酒が酒税法上のその他醸造酒(濁り酒)でなくとも問題はない、ということであるようだ。

神社のどぶろく祭りのどぶろく販売について

祭事の特例を根拠に行われているどぶろく祭りに行ったことがあるなら知っているだろうが、境内の周辺には警察が待機していて、振る舞われたどぶろくが境外に出てしまわないよう目を光らせている。また、持ち帰り用のどぶろくについては販売品でなく、あくまで神社に対する奉納への返礼という扱いになっている。消費税等が価格に乗せられることもない。

ただこの"奉納の対価たるどぶろくのみ境外に出ることが出来る"という原則にも例外事例が見つかる。先のエントリでも紹介した大分県杵築市の白鬚田原神社のどぶろく祭りだが、通常の境内でのふるまいと奉納の対価として持ち出し可能などぶろく以外に、車の運転手が駐車場で引換券を貰い、タッパーに入れてもらって持ち帰りができるどぶろくというものが存在するらしい。飲酒運転を避けるための措置であろうが、こうなってくると神社のどぶろく醸造特例について厳格なルールが存在しているわけでなく、各地方の管轄税務署のさじ加減次第でルールが決められていると考えた方がよろしいのではないだろうかという気がしてくる。

 

かように謎が多いどぶろく醸造の特例だが、ルールが明文化され示されていないのは、神道という特定宗教に対する肩入れを指摘されると困るからだったりするのだろうか。祭を楽しむ側としては伝統的なものが残ったままであるのが嬉しいが、もしかしたらこの特例の扱いは国にとっては困りものであるのかもしれない。