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麦の穂発芽とはどういう現象か 何故収穫時の雨がまずいのかについて調べてみた

TOKIOが番組企画で「春よ恋」を福島に持っていって育てているけれど、穂発芽等でうまく収穫できない可能性があるのではないか?ということを書いた。その補足と言うべきか、興味の延長と言うべきか。穂発芽についてさらに調べてみた。

穂発芽は品種改良を繰り返された麦の成れの果て?

穂発芽というのは、麦が穂に生っている状態で発芽してしまう現象である。これを実際に光景としてみると、生物的に相当間抜けな状態に見える。なにしろ穂についたまま種子が発芽しても、その後の成長に必要な栄養分をとる術は無いわけである。植物の進化の過程でこういったエラーの可能性が保持され続けているのだとしたら、その植物が今日まで種を絶やさなかったことが不思議に思えるだろう。

実は、このような間抜けな現象が起きてしまうのは、今日栽培されている麦が、本来のあり方とは異なった個体ばかり選択されてきた結果なのである。本来の麦は、穂に生った種子をはじいて地面に落とし繁殖する。ところが、種子を地面に落とす麦は収穫には適さない。そこで、穂から種子の落ちにくい個体を選抜して繁殖させていった結果が、今日栽培品種として残っている麦なのである。一方、古代種として人の手による選抜が繰り返されていないとされるスペルト小麦などでは、本来の種子の脱落し易さが残っている。

最近話題のスペルト小麦

穂発芽が起き易い条件

そもそも穂に生った状態の種子が基本的に発芽しないのは、穂に種子が生る時期の気候条件下において、種子の発芽を抑制する物質(アブシジン酸)が生成されるからである。この物質は温度が25℃以上の時に最も分泌され、麦本来の発芽時期である冬の低い気温下においてはほとんど分泌されない。これが発芽時期を決定しているのである。また、降雨などによる高湿度状態での吸水刺激で穂発芽が起こってしまう場合もある。これは種子が成熟する直前の時期で起こり易く、その品種の成熟後の穂発芽耐性とは一致しないこともある。

穂発芽した種子が出荷できないわけ

麦が穂発芽してしまうと、加工後に低アミロと呼ばれる粘度の低い小麦粉になってしまう。麺類であれパンであれ、粘度が低いと形状を保ちにくくなるため、食品加工性が低くなる。そのため低アミロの小麦粉は市場で値段がつかない。

今年は特に穂発芽の事例が多い?

大規模な穂発芽被害のニュースが、最近目につく。栃木・群馬・茨城といった関東地方のビール用二条大麦が、今月頭の大雨の影響で穂発芽してしまったというのだ。勿論春麦の収穫タイミングで同じような現象が起きるとは限らないのだが、想定以上に気候変動があれば、北海道というよその土地の気候条件に適応させた品種にはなおさら問題となってくるだろう。