国産小麦を使ったビールがあれば、すぐに飛びついてしまうという習性がある。まあ、別にそれ以外のビールでも、少し考えてから結局飛びついてしまうので、あまり変わりはないのだけれど。小麦を使ったビールのスタイルと言えば、ベルジャンウィットやヴァイツェン。日本のクラフトビールメーカーでも、こうしたスタイルのビールをラインナップに入れているところが多いのだが、国産の小麦を使っているという例はなかなか見つからない。ということで、希少種それ故に一期一会を大事にしたいのだ。
北海道江別市のカナディアンブルワリー
以前国産小麦使用ビールとして言及したのは、愛媛県の梅錦ビールが販売するヴァイツェンとブロンシュ。ただ、こちらのビールについて、愛媛県産の小麦であるということは公表されているものの、どういった品種の小麦が使われているのかは残念ながら不明だ。おそらく愛媛県で広く栽培されているオマセコムギかチクゴイズミか…といった予想をしていた。小麦産地が近くにあれば、地産地消で小麦ビールが登場してくるだろうという例ではある。
梅錦ビール ヴァイツェン |
梅錦ビール ブロンシュ |
国内で小麦の大産地といえば、なんといっても北海道なのだが、やはり北海道のクラフトビールメーカーで国産小麦使用ビールを作っている例がある。それが北海道江別市のカナディアンブルワリーで、同社のビールブランド、ノースアイランドビールのヴァイツェンが国産小麦使用ビールにあたる。こちらは小麦品種も公表されており、江別産のハルユタカを使用しているそうだ。
【爽快でフルーティーな小麦ビール北海道江別産「ハルユタカ」小麦使用。】ヴァイツェン |
ハルユタカと言えば、TOKIOの『ザ!鉄腕!DASH!!』の企画、世界一うまいラーメンでラーメン用の小麦として育てられている「春よ恋」の前身となった小麦である。グルテンの力が強く製パンに向く輸入小麦に対抗できるほぼ唯一と言って良い国産小麦として、北海道で一時期大量に作付けされていた。ただ現在では、後進の「春よ恋」などにその座を譲っているようである。もっとも、カナディアンブルワリーのある江別市を中心に初冬播きという新しい作付け方式によりその価値が見直されているとも。
でも今回のレビューはブラウンエール
ここまで引っ張っておいて、ヴァイツェンのレビューをしないのかと突っ込まれそうであるが、今回飲んだのは、同社のブラウンエールの方だった。まあ、一期一会力が足りず、入荷されていたのがブラウンエールだけだったという話。ヴァイツェンは次回に期待してほしい。
【豊かな香りと深い味わいカラメル麦芽の香ばしさとホップの香味】ブラウンエール |
さて、ブラウンエールの方はどうだろう。同社ラインナップの中では、ピルスナーの次の2番目に紹介されているので、脇役的な位置づけのスタイルなのかもしれない。エールなので上面発酵。ブルワーのクセが出易いところではあるけれど、IPA程にはとんがってないスタイルのはず。
ハードボイルド!旨味が控えめで、実に人を選ぶ味だ。香りは柑橘系も少し入ったようなほどよいものがあるのだが、とにかく旨味がないので、ビールと似て非なるもののようにも感じる。ただ、それが個性としてとても面白いので、そういったテイストをどのように楽しむか、飲み方を考えるのが面白い。
ブラウンエールが個性的だったので、ヴァイツェンの方にも期待が出来るかもしれない。