毎年4種類登場して、毎年4種類飲むことになるサンクトガーレンのバレンタイン向けチョコレートビール。4種の内新味が毎年1種類登場するのだけれど、それが今年はイチゴをふんだんに使ったストロベリーチョコレートスタウトである。バレンタインまであと1ヶ月もあるが、早速呑んできた。
サンクトガーレンのチョコレートビール入門
バレンタイン商戦向けのサンクトガーレンのチョコレートビールだが、原料にチョコレートやカカオ等は一切使われていない。それでもチョコレートビールを名乗るのはどういうことなのかというと、ビール原料のモルトを高温で焙煎して、チョコレートのような香りの癖付けをしているのである。
このチョコレートモルト使用による香り付けの技を一番愉しめるのがインペリアルチョコレートスタウト。アルコール度数は9%と高く、ワインのように長期熟成も可能だ。まあ、これを飲んでチョコレート感を全く感じないのであれば、他の3種類も普通のフレーバービールにしか思えないだろう。
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インペリアルチョコレートスタウトにしろ他社のチョコレートビールにしろ、原料としてチョコレートを使っていないので、飲みながら味のチョコレートっぽさをツギハギして、チョコレートの虚像を作り上げる。フレーバー付チョコレートビールについてはさらに複雑で、チョコレートの虚像を作りながら、チョコレートビールの中に散逸してしまった原材料(こちらは実際に使用されている)の風味を取り返していくことになる。
ストロベリーチョコレートスタウトにイチゴ感はあるか
では、今年の新商品のストロベリーチョコレートスタウトにイチゴの風味は残っているのだろうか。サクっと購入して飲んでみた感想は、イチゴ風味がわかりにくい!というものだった。
それどころか、チョコレートビールに大切なチョコレートの虚像感も減ってしまい、最早飲み易すぎるスタウトになってしまっているのでは。そういった印象でグビグビ呑んでいた。
瓶底の辺りまで飲むと、イチゴらしい部分もようやく少し見えてきた。イチゴ果肉の白い部分の香りが一番強い。ただこの白い部分の香りというのは、普通の人がストロベリーフレーバーに期待する甘味や酸味ではなく、イチゴを因数分解したときの一番目立たない部分だ。なんというかレギュラー商品ではないからこその消費者受けを無視した実験ビールだなあ、と改めて感じるのであった。
で、結局このビールの評価はどうなの?
華やかなるバレンタイン商戦のビールであることを差し置いて考えるならば、スタウトの飲みにくさを果肉の香りでまろやかにしているから、非常に合理的なフレーバービールであると感じる。ただ、このビールを来年もバレンタインに贈りたい!と思う消費者は少ないのではないか、という気がする。イチゴの華やかさがないから。
フレーバービールとしてイチゴ果肉の可能性を提示したのは面白いし、それがバレンタイン企画ゆえの偶然の産物だったにしろ、スタウトに合わせるのも面白い。そこでまあ、サンクトガーレンのある厚木市のお隣海老名市の名物がイチゴですし、海老名ストロベリースタウトとかそういったご当地ビール路線でレギュラー化してくれないかな、と密かに希望してみたり。
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