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湘南ベルマーレJ2優勝で見られたビールかけに吃驚

10月29日(土)にShonan BMWスタジアム平塚で行われた、J2第39節湘南ベルマーレファジアーノ岡山戦。J2の首位を走る湘南は、前日に行われたアビスパ福岡東京ヴェルディの結果により来期からのJ1昇格は一足先に決めていたものの、今節の1-1という結果をもって勝ち点を1積み上げ、その結果2017年の成績を首位で終えることが決定した。つまり優勝である。優勝オメデトウ。

セレモニーで披露された"ビールかけ"

ホームスタジアムで優勝が決まったこともあり、試合後には盛大なセレモニーが行われ、悪天候にも関わらず詰めかけた8780名の観客の前でシャーレが掲げられた。その様子はSNS等で逐一チェックしていたのだが、通常のJリーグクラブの優勝セレモニーと異なる、印象に残る場面が撮影されていた。それが、ビールかけである。

優勝チームのビールかけと言えば、とにもかくにもプロ野球チームのものが思い浮かぶ。ビールかけが始まったのは、キリンビールのサイトにあるコラムが主張するに、1959年南海ホークスの優勝で会場に用意していたキリンビールがかけられたのが日本初だという。チームに在籍していた米プロ野球経験者が現地のシャンパンかけ合いを真似して即席に行ったらしいが、これがその後も日本プロ野球の文化として定着していくのである。現在では優勝が決まりそうなプロ野球チームがあると、ビールかけ用のビールが一緒に試合の行われる会場まで転々と移動していく。

サッカーチームによるビールかけの例もある

欧州のサッカーチームの場合、他のチームスポーツと同じように優勝後シャンパンのかけ合いを行うことも多く、欧州サッカーを手本として輸入・吸収してきた日本のJリーグでも、優勝後にわざわざ用意したシャンパンをかけ合って祝福をすることが多い。炭酸が入っている酒であれば別に大量に手に入り易いビールでも良い筈なのであるが、なんとなくサッカー界に蔓延する、"野球とは違うんだぞ"感のためか、ビールかけによるセレモニーは避けられている感がある。これがなでしこリーグのチームの場合、そういった意地が存在しないため普通にビールかけが行われたりするので面白い。

ただ、欧州サッカーチームでビールかけが全く行われないわけではない。最近放映が多くなってきたブンデスリーガのチームでは、優勝セレモニーで現地醸造のビールをかけあうこともある。サッカーに詳しい人間であれば、常勝チームであるバイエルンミュンヘンのセレモニーでグァルディオラ監督が頭からかけられていたり、リベリーが飲酒NGであるイスラム教徒であるのに関わらずビールをかけられて激怒していた場面など思い浮かぶかもしれない。欧州にまねぶにしても、ビールかけがサッカーに全くそぐわないというわけでは決してないのだ。

日本サッカークラブチームによるシャンパンかけの翻案

優勝セレモニーでシャンパンかけの絵面を見せたいけれども、シャンパンが手に入りにくいという状況を解決するため、日本のサッカーチームではシャンパンの代わりに様々なものをかけあった前例があるという。

愛媛県にあるJリーグクラブ(現在はJ2)愛媛FCでは、2005年JFLで優勝を経験しJ2への昇格が決定した際に、愛媛名物であるポンジュースをかけあって祝福を行ったという。もはや炭酸すら入っていないのでどういう絵面になるのか計り知れないが、シャンパンかけの翻案というよりむしろ、NFLゲータレードシャワーを翻案したものなのかもしれない。

群馬県にあるJリーグクラブ(現在はJ2)ザスパクサツ群馬は、サポーターが草津温泉の湯もみの動作で応援したりととにかく温泉に縁が深いクラブであるが、2004年のJリーグ昇格決定時を始めとして祝い事があった際には、湯かけを行うらしい。もうこの湯かけレベルになってくると、シャンパンかけの翻案というよりは日本伝統の湯立神楽の延長として民俗学的研究対象とした方がよろしいのかもしれない。

湘南ベルマーレオフィシャルビールによるビールかけ

このように、財政的に大型クラブとは言い難い地域密着型のJリーグクラブでは、シャンパンを手配出来ない代わりに地域の特色をアピールする液体をかけあって祝福をする傾向が出てきている。むしろ、クラブマスコットにこれでもかと地域の意匠が盛り込まれるのと同様に、祝福セレモニーの際にかけ合う液体についても地域のアピールは欠かすことは出来ない、と変なハードルが設定されているようにも感じる。J1とJ2以下では雰囲気がまるで別のスポーツリーグであると感じるのも、こういったところが原因か。

そして、冒頭で紹介した湘南ベルマーレのセレモニーに戻る。このセレモニーで用意されていたビールは、厚木市の地ビールメーカーサンクトガーレンが製造する湘南ベルマーレのオフィシャルビールであったのだ。地域の特色をアピールする液体として、湘南で栽培がされているオレンジの品種、湘南ゴールドを使用したベルマーレビールはまさにうってつけであったに違いない。

ベルマーレビールの"中身"と思われる"湘南ゴールド"

 

ただのタイアップ商品というわけではなく、湘南の試合があるとスタジアムに屋台が出ていて注文することが出来る。"中身"ビールの"湘南ゴールド"は夏期限定販売であり既に手に入れにくくなっているが、ビールかけで使われていたもう1本のビールが"感謝の一升瓶ビール"。こちらは賞味期限が短め(30日間)なので贈答用には直前注文が必要だが、通年で販売している。

一升瓶に入ったビール

 

ということで、湘南ベルマーレJ2優勝ビールかけの何に吃驚したかというと、地域の特色も出しつつシャンパンかけのような絵面を出しつつ手に入り易さも解決するという方法として、地ビールを採用していたというのが妙案だと感じたからだ。

まあ、一介のビールファンとしては、今回ビールかけに使われたビールの税金がかけられた後の市場小売価格も知っているため、思わず反射的に「勿体ない!」と言ってしまいそうになったことも付け加えておく。プロ野球チームのビールかけを、第三のビール片手にテレビで見る野球ファンの気持ちが少し分かったような。