秦野でSEOなどしつつ神奈川県ネタブログ

秦野市でSEOしつつ、神奈川県ご当地ネタ・地域情報を書くブログ。湘南・小田急線・グルメ・温泉がマイブーム。

神奈川県産材料使用クラフトジン『The Japanese Craft GIN 黄金井』を呑んでみた

厚木市にはクラフトビールブーム黎明期より、クラフトビール醸造を行うブルワーが3社存在している。バレンタインのチョコビールや感謝の一升瓶ビールなどで全国的に見ても結構な知名度を持っていると思われる、サンクトガーレン。コアなファンが多く全国知名度はあまり高くない一方、各地の飲食店からオリジナルビールを醸造委託されるケースが多い厚木ビール。そして日本酒銘柄『盛升』の蔵元として今年丁度創業200周年を迎えた黄金井酒造。それぞれのブルワーで得意分野が違うが、共通するのは丹沢由来の豊富な地下水が利用でき、物流の拠点としても便利という厚木市のメリットを活かし事業を続けているということだろう。

黄金井酒造創業180周年を期に始まった『さがみビール』ブランド

さて3社の中でも最も酒造りの守備範囲が広いのが黄金井酒造。元々日本酒の造り酒屋として文政元年(1818年)に創業した黄金井酒造だが、昭和50年代より日本酒造りの際に出る酒粕を使った粕取り焼酎をラインナップに加え、その後米焼酎やリキュールなどの醸造にも手を出して行ったという。クラフトビールの『さがみビール』については丁度20年前の創業180周年を期に製造を始めたもので、フルーツなどの副原料が加えられることも珍しくないクラフトビールの特性を活かして、かぼすや桃など地元産の原料を加えたご当地ビールをこれまでにリリースしている。また醸造所の近くには直営イタリアンレストランのセルバジーナをオープンしており、窯焼きのピザとクラフトビールを一緒に楽しめる場所を提供するほか、年に一度の"さがみビール祭り"の際にはこのセルバジーナが会場となり、ビュッフェスタイルの料理とJAZZバンドによる演奏で地元の方でもクラフトビールファンでも楽しめるイベントを開催している。

創業200周年記念ジン『The Japanese Craft GIN 黄金井』

さて、先述のとおり2018年は黄金井酒造が創業200周年となる節目であったのだが、また新しい分野への挑戦をということで、近頃ブームになってきているクラフトジンの分野に参戦をしてきたようである。

クラフトジンというのはクラフトビールブームを踏襲する形で世界的に脚光が当てられてきた感もあるプレミアムなジンのことで、ジンに香り付けをするための植物原料"ボタニカル"を多いものでは数十種類加え、香りに深みと奥行きを持たせたジンのことである。

黄金井酒造が9月25日より販売開始したクラフトジン、『The Japanese Craft GIN 黄金井』は、ベーススピリッツに同社製の粕取り焼酎と米焼酎を使い、ボタニカルについては神奈川県産という縛りで9種類の原料を選びベーススピリッツへの漬け込みを行っている。その内訳は、厚木七沢産のカボスとどくだみ、相模原産の山椒、伊勢原産の桜花、大和産のレモングラス、清川産の茶葉、県産の湘南ゴールド、杉、檜ということだ。これにジンのアイデンティティーとなるジュニパーベリーを加えている。

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呑んでみた感想…粕取り焼酎部分をどう評価するかで好みは分かれる?

この『The Japanese Craft GIN 黄金井』の価格は500mlで4500円、200mlで1800円ということで、試しに200mlの瓶の方を購入してストレートや割呑みなど色々試してみた。感想としては、確かにボタニカル由来の華やかな香りがあり、山椒や柑橘、茶葉など分かり易く感覚に訴えかけてくる。割って呑んだときに口の中に残り続ける芳香はひたすら楽しい。

ただストレートで呑んだときなどに顕著なのだが、粕取り焼酎の独特の香りが目立ち過ぎて、まあ粕取り焼酎そのものを呑んでいる気分になる(笑)。ベーススピリッツに粕取り焼酎と米焼酎を選んだのは手近だったからであろうが、個人的にはあまりクラフトジンの棚にこの製品が並んでいて欲しくない。黄金井酒造のコーナーに製品バリエーションの一つとして置いてある分には一向に構わないのだが。

ただ考え方によっては、ジンのボタニカル由来の香りがカクテルベースとしてその実力を遺憾なく発揮出来るように、粕取り焼酎の香りもスピリッツの味付けとして意外な可能性を見せてくれることもあるかもしれない。もしかしたらこの製品が遠く外国のバーにクラフトジンとして紹介され、粕取り焼酎の香りを新しいと思ったバーテンダーによって新たなエキゾチックなカクテルのベースとして使われるかもしれない。そう考えるとこの製品にクラフトジンというラベルがつくことは、確かに新しい市場の開拓方法として間違ってはいないだろうと思えるのだ。

ということで、そうした戦略込みではこの製品を評価したいかも。ジン好きの人にとっての粕取り焼酎入門としても面白いかもしれないので、まあどこかで見かけたらぜひ試してみて欲しい。

二宮町の湘南オリーブが神奈川県の地域産業資源に選定されるなど

地域産業資産という都道府県指定のリスト項目がある。その内容は、各都道府県が選定するその自治体を代表する農林水産物、鉱工業品及びその生産技術、観光資源のことで、この指定を受けたものを活用し中小企業が事業を行う場合に、平成19年に施行された中小企業地域資源活用促進法を根拠として国から補助金や低金利融資を受けることができるというものである。

神奈川県の地域産業資源に湘南オリーブ等が追加

神奈川県が選定する地域産業資源はこれまで162件があり、その中には湘南ゴールドやら高座豚やら大山のとうふやらの農作物・加工食品系や、箱根温泉やあつぎ鮎まつりなどの観光資源系など各市町村の名物がくまなく選ばれている。そして先日新たにリストに加わったのは、二宮町で栽培される湘南オリーブなどの4件。特にオリーブは二宮町のユニバーサル農場が2004年に県内で初めて栽培を開始し、2011年にオリーブオイルの製造に成功、その結果二宮町が町の新しい名物としてオリーブ栽培を奨励することを決定し、2012年をオリーブ元年として農家に苗木の購入補助などを始め、現在では湘南オリーブの郷と呼ばれる観光農園が出来ているなど町おこしの手段として着々と花開いている。今後より幅広い生産者がオリーブ栽培に従事し、期待される第6次産業化を果たすためにも、ブランドが地域産業資源認定を受けることは重要な一歩であったに違いない。

湘南オリーブはどこまで湘南オリーブになるのか

確かに二宮町のオリーブ元年からこのかた、二宮町に行く用事があると土産物屋でオリーブ加工品を目にすることが多く、名物として浸透してきているように思う。ただそれまでみかん畑であった場所をオリーブ畑に転換して名物化を果たそうという動きは、二宮町の例を参考にして小田原市湯河原町真鶴町などでも広がってきており、それらの町でもオリーブをブランド化して売り出したいとなったときに、今回地域産業資源に認定された湘南オリーブに乗っかってくるのかは分からない。

そもそも現在の状態では、地域産業資源となった湘南オリーブに係る地域は二宮町のみとされており、他地域で栽培したオリーブが制度に乗っかり恩恵を受けることはできないだろう。勿論複数の市町村にまたがった認定というものはあるので今後湘南オリーブの地域に他の市町村が加わることもあるのかもしれないが、その際に二宮町はギリギリ湘南の範囲であったかもしれないけれど、それ以外の地域については西湘になるのでは?という突っ込みを受けてしまうかもしれない(まあそれを言ったら、小田原市大井町で認定されている湘南ゴールドもなかなかあやしいが)。

小田原市などでブランド化が必要になったときには、西湘オリーブとかまた別の名称で認定項目になるのかもしれない(同種のものが別名称で認定されるケースがあるのは、リストにオシツケとアブラボウズが別々に認定されているので大丈夫なのだろう)。それが消費者の混乱を引き起こして、共倒れになる結果にならなければよいなと切に願う。

鉄腕!DASH!!で紹介されていた湘南平塚産7種類のきゅうりについて調べてみた

農家であるTOKIOが日本全国の農林水産業や第6次産業について紹介するテレビ番組、ザ!鉄腕!DASH!!であるが、5月28日(日)の放送回で、当ブログでもちょくちょく言及することが多い平塚市の復刻品種きゅうり、「相模半白節成」が登場した。しかも、TOKIOのメンバーが出張DASH村で訪問した先がまさに相模半白節成復刻の担い手となった吉川貴博氏の農園ということで、湘南のきゅうり栽培最前線についても知ることが出来て面白かった。番組中の紹介を補完する形で品種紹介をしよう。

吉川氏の湘南きゅうり園について

TOKIOが訪れた湘南きゅうり園であるが、平塚市の城所(きどころ)という住所にある。平塚市に合併される前は城島(きじま)村と呼ばれた地区に属し、吉川氏の湘南きゅうり園についても、2015年に改名する前は城島園芸という名称の農園であったようだ(湘南きゅうり園ホームページTwitter)。

平塚市内と聞いて一般的にイメージされるような海沿いの場所ではなく、内陸も内陸で、周囲に農園や田んぼが広がる。実は平塚市ながら小田急小田原線伊勢原駅にほど近い。

紹介されたきゅうりの品種7種類

きゅうりを専門に扱っている農園ということで、栽培しているきゅうりのバリエーションは7種類にもわたっているようであった。それぞれについて簡単にまとめてみよう。

兼備2号(通常のきゅうり)

通常よく見る特徴のきゅうり。と言っても、通常のきゅうりも日々進化しており、消費者が知らない間に地味に品種がアップデートされ続けている。兼備2号というのは埼玉原種育成会という種苗会社が2014年に開発した品種で、ハウス栽培用の複合耐病性品種。ちなみに兼備1号もあって、それぞれ植える時期が異なる。

番組を見てSNSなどで、「へぇ、普段食べているきゅうりは兼備2号っていうんだ」という反応があったけれども、それは間違っている。あくまで湘南きゅうり園で育てているきゅうりの内通常の特徴をもったきゅうりの、収録時にちょうど収穫された品種が兼備2号だっただけであろう(ホームページによると、他の通常品種も栽培している)。

相模半白節成(さがみはんじろふしなり)

1929年に平塚を含めた神奈川県内で栽培が開始され、1960年代以降、番組でも紹介されていたようにサラダに向いた品種に取って代わられる形で栽培されなくなってしまっていた品種。2010年より吉川氏が現代的なハウス栽培の形で復活させ、2011年より平塚市の「平塚キュウリプロジェクト」という第6次産業的なプロジェクトの対象となって、色々なメディアで紹介されて知名度を増した。もう少し詳しい話は別エントリで書こうと思っている。

相模半白節成のタネ
 

フリーダム

表面にイボがない異様な見た目をしていたきゅうり。イボがないと食前に洗い流す手間がなくなる。また、イボの取れた跡から雑菌が入り込まない。サカタのタネが2001年から販売する品種。

フリーダムのタネ
 

四葉(すうよう)

中国語っぽい名前の、苦瓜のようなイボとシワだらけの品種。実際中国から韓国を経由して昭和19年に日本にやって来たとされる。派生種が多く、有名な派生種として四川がある。中華料理の炒め物でよく使われる。番組中でオイスターソース炒めにして食べられていた。

四葉のタネ
 

ガーキン

ピクルス用の小振りなきゅうり。国内栽培は珍しい。

ガーキンのタネ
 

うぐいす

色味の薄いきゅうり。埼玉県のときわ研究所という種苗会社で作られた。番組中では肉巻きフライにされて食べられていた。

うぐいすのタネ
 

純白(ホワイティ25)

半白どころではなく、全体にわたって白いきゅうり。奈良県の大和農園が販売。

ホワイティ25のタネ
 

ハウス栽培きゅうりの特徴

きゅうりは単位結果性という性質をもち、雄花と雌花が受粉しなくても実ができる。畑や家庭菜園で収穫されるきゅうりは飛来する虫達によって受粉が起こったきゅうりであり、きゅうりの中身の種が大きく育ち、食感が水っぽくなる。一方湘南きゅうり園のきゅうりはハウス栽培なのできゅうりが受粉しない。中身の種がなく食感が均一なので炒め物や漬け物など加工食品に向いている。

その他番組で紹介されていたもの情報

平塚生まれの米『はるみ』

平塚生まれのブランド米の『はるみ』である。コシヒカリキヌヒカリをかけあわせた品種。日本穀物検定協会が毎年行う米の食味ランキングで、昨年2016年に神奈川県産の米としては初めて最高級評価である「特A」の評価を受けた。

その後話題となって品切れしてしまったため現在手に入れることはできないだろうが、新米の季節の10月初旬になればお目にかかることが出来るだろう。平塚市寺田縄にある湘南農協あさつゆ広場等で手に入るはず(湘南きゅうり園のきゅうりもここに出ている)。

tanto tanto

湘南きゅうり園のきゅうりが楽しめる飲食店として番組中で紹介されていた。昨年オープンしたららぽーと湘南平塚内にあり、地元野菜を食べられるイタリア料理店として話題になっている。サラダと前菜がビュッフェ形式になっているので、湘南野菜が食べ放題である。

 

身近な湘南(内陸部)が紹介されていたので気合いが入って紹介が長めになってしまったけれども、今回テレビで湘南きゅうり園や『はるみ』のことが紹介されたことで、湘南は農産物ブランドを"持っている"ということが広く知られたらさいわいなことだと思う。

"どぶろく祭り"にも3種類ほどカテゴリがありそう

前回のエントリで何気ない好奇心からどぶろくと濁り酒の違いを調べてみたら、調べ物が膨らんで膨らんで、大変である(笑)。とりあえず当初の疑問は秦野どぶろく祭りという祭がどぶろく特区でもない秦野市でどうして開催できるのかというものだったので、素直にその疑問を解決するエントリだけでも上げてしまおう。

前回のおさらい どぶろくと濁り酒の違い

前回長々と説明したエントリがこれ。

hadanon.hatenablog.com要約すると、どぶろくと濁り酒の違いは、濾過を経ているかいないかのみ(濾過をしないとどぶろく)。そして酒類製造免許のカテゴリが異なるので、酒造メーカー的には濾過工程を加えてどぶろく清酒カテゴリで発売した方が税率的に有利。一方醸造量が規定値に満たない個人や団体が、どぶろく特区という特例の力を借りてどぶろく醸造することが出来るが、この場合濾過をしないどぶろくのみが許される。

"どぶろく特区"の概要

それではどぶろく特区とはどういったものか。端的に言うと、特区に指定されたエリアの農家は自家製米を使ってどぶろくを製造・販売しても良いという内容である。

歴史的に見て、元々自家製酒(その大部分がどぶろく)というのは各家庭が勝手に作ることの出来たものなのだが、大日本帝国日清戦争に勝利した後、(日露戦争前夜でもあったので)富国強兵のためにお金が必要になって酒税の増税を行った。その際に自家製酒の製造も禁止されてしまったのだ。なにしろ酒造メーカーから巻き上げる酒税が明治政府の税収の4割を占めたこともあるという。そりゃあ自家製酒を取り締まって、課税対象となる酒(=酒造メーカー製の酒)のパイを最大化し続けないといけない。

ということあって、長らく民間レベルでのどぶろくの製造は禁止されていた。それが、小泉政権下で提唱された構造改革特区のひとつとしてどぶろく特区が登場し、特区指定を受けた自治体で原料米の生産者がその他醸造酒の酒類製造免許を取得すれば、醸造量に関わらずどぶろく醸造や特区内での提供・販売が許可されるようになったのだ。

でも現状秦野市どぶろく特区になっていないが…

国税庁ホームページを検索すると、平成28年度時点でどぶろく特区となっている自治体のリストがヒットする(PDFリンク)。リストを見ても、秦野市どころか神奈川県(ついでに東京都も)の自治体の名前が出てこない。それなのにどうして秦野市で毎年どぶろく祭りを行うことが出来るのかというと、前回のエントリでも触れたがどぶろく祭りで振る舞う『秦野てんてこまい』という酒を醸造しているのが酒造メーカーだからだ。そして、厳密には濾過をして瓶詰めを行っているので、酒税法のその他醸造酒(濁酒)カテゴリではない。

つまり、どぶろく祭りという名前だが、実際振る舞っているものはどぶろく清酒なのである。そして、その違いは濾過しているかしていないかに過ぎないので、別に悪質な詐称というわけでもない。このタイプの祭が、どぶろく祭りの1つ目のカテゴリになる。

どぶろく特区で行われるどぶろく祭り

もう一つのどぶろく祭りが、これまで説明してきたどぶろく特区で醸造を認められた生産者が主催するどぶろく祭り。Googleでランダムに検索してみて、山形県飯豊町宮城県大河原町高知県三原村などの例が見つかった。飯豊町大河原町のものは、特定の祭日に行うイベントのことをどぶろく祭りと称するのでなく、どぶろくを提供できる期間全体を指してどぶろく祭りと称しているようだ。このタイプのどぶろく祭りで提供されるどぶろくは、法律上間違いなくその他醸造酒(濁酒)にあたるだろう。

神事として特別に認められるどぶろく祭り

最後のタイプである。一般にどぶろく祭りというと、岐阜県白川郷で行われるものや大分県杵築市白鬚田原神社で行われるものがイメージされるのではないだろうか。これらの神事としてのどぶろく祭りは、明治の時代に酒造メーカー以外のどぶろく醸造が禁止されてからどぶろく特区による規制緩和が行われるまでもずっと続いてきた。そして、現在もどぶろく特区による許可を根拠としてどぶろく祭りを開催しているわけではない。

どうやら国税庁によって神事としてのどぶろく醸造が認められた神社が全国に40社ほどあり、白川郷の3社や白鬚田原神社などはこの特例を根拠としてどぶろく祭りを行っているのだ。そりゃあ、明治時代に出来た法律がどぶろく醸造禁止の根拠なのだから、神社の神事には特例的配慮があるのも頷ける。

最後に完全に余談になるが、濁酒でない清酒醸造に特例的配慮がされている神社も全国で4社あるらしい。それが伊勢神宮出雲大社、千葉県南房総市の莫越山神社、山口県宇部市の岡崎八幡宮となる。この4社、神社好きで酒好きならば制覇してみたくなる。

結論

ということで、秦野市の秦野どぶろく祭りはどぶろく特区によるどぶろく祭りではなく、現状振る舞っている酒も厳密などぶろくではないという結論が出た。ただ、原料米の生産という点においては既にクリアが出来ているので、今後秦野市のどぶろく特区認定(神奈川・東京で初!と話題性も充分)と、真のどぶろくの振る舞いに期待して待っていても良いのではと思っている。

サンクトガーレンのストロベリーチョコレートスタウト それはイチゴの因数分解!

毎年4種類登場して、毎年4種類飲むことになるサンクトガーレンのバレンタイン向けチョコレートビール。4種の内新味が毎年1種類登場するのだけれど、それが今年はイチゴをふんだんに使ったストロベリーチョコレートスタウトである。バレンタインまであと1ヶ月もあるが、早速呑んできた。

サンクトガーレンのチョコレートビール入門

バレンタイン商戦向けのサンクトガーレンのチョコレートビールだが、原料にチョコレートやカカオ等は一切使われていない。それでもチョコレートビールを名乗るのはどういうことなのかというと、ビール原料のモルトを高温で焙煎して、チョコレートのような香りの癖付けをしているのである。

このチョコレートモルト使用による香り付けの技を一番愉しめるのがインペリアルチョコレートスタウト。アルコール度数は9%と高く、ワインのように長期熟成も可能だ。まあ、これを飲んでチョコレート感を全く感じないのであれば、他の3種類も普通のフレーバービールにしか思えないだろう。

インペリアルチョコレートスタウト

インペリアルチョコレートスタウトにしろ他社のチョコレートビールにしろ、原料としてチョコレートを使っていないので、飲みながら味のチョコレートっぽさをツギハギして、チョコレートの虚像を作り上げる。フレーバー付チョコレートビールについてはさらに複雑で、チョコレートの虚像を作りながら、チョコレートビールの中に散逸してしまった原材料(こちらは実際に使用されている)の風味を取り返していくことになる。

ストロベリーチョコレートスタウトにイチゴ感はあるか

では、今年の新商品のストロベリーチョコレートスタウトにイチゴの風味は残っているのだろうか。サクっと購入して飲んでみた感想は、イチゴ風味がわかりにくい!というものだった。

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それどころか、チョコレートビールに大切なチョコレートの虚像感も減ってしまい、最早飲み易すぎるスタウトになってしまっているのでは。そういった印象でグビグビ呑んでいた。

瓶底の辺りまで飲むと、イチゴらしい部分もようやく少し見えてきた。イチゴ果肉の白い部分の香りが一番強い。ただこの白い部分の香りというのは、普通の人がストロベリーフレーバーに期待する甘味や酸味ではなく、イチゴを因数分解したときの一番目立たない部分だ。なんというかレギュラー商品ではないからこその消費者受けを無視した実験ビールだなあ、と改めて感じるのであった。

で、結局このビールの評価はどうなの?

華やかなるバレンタイン商戦のビールであることを差し置いて考えるならば、スタウトの飲みにくさを果肉の香りでまろやかにしているから、非常に合理的なフレーバービールであると感じる。ただ、このビールを来年もバレンタインに贈りたい!と思う消費者は少ないのではないか、という気がする。イチゴの華やかさがないから。

フレーバービールとしてイチゴ果肉の可能性を提示したのは面白いし、それがバレンタイン企画ゆえの偶然の産物だったにしろ、スタウトに合わせるのも面白い。そこでまあ、サンクトガーレンのある厚木市のお隣海老名市の名物がイチゴですし、海老名ストロベリースタウトとかそういったご当地ビール路線でレギュラー化してくれないかな、と密かに希望してみたり。

2016年バレンタインの4種類4本セット

藤沢産生ハムが食べられるお店!

「行ってみたいお店・レストラン」by みんなのごはん
http://blog.hatena.ne.jp/-/campaign/gnavi201512

はてなブログのキャンペーンで、行ってみたい店を紹介すると生ハム原木をはじめとした豪華賞品が当たるというものがあったので、前々から紹介したいと思っていたネタと絡めて便乗してみよう。生ハム原木からのインスピレーションで、テーマは「藤沢産生ハム ふじさわ生豚を提供している店」

そもそもふじさわ生豚って何?

生ハムというと、西洋料理に良く登場する食材で、バルなんかに行くとどかんと原木が置いてあったりする。最近の話題としては、ファストフードチェーンなんかで"500円で生ハム食べ放題!"といったサービスが登場したりしている。正直、生ハムが食べ放題と言われても塩分が強過ぎて、体調を悪くする覚悟が無ければ元は取れないだろうと思うけれども。もし徴兵制度が復活したら、500円握りしめて生ハム食べ放題に行こう(笑)。

そんな西洋料理の申し子のような生ハムを、国産豚を原料に国内施設で作ってしまおうという試みがあるらしい(なんと第6次産業的試みだろう)。これが田舎の自治体の名物作りということならば理解もし易いけれど、湘南第一の都市でもある藤沢でやっているそうな。藤沢市の一般的イメージといえば、江ノ島に代表される海沿いの自治体というものだろう。けれども実は市域は北に長く、北部の湘南台あたりでは高座豚と呼ばれるブランド豚を飼育している。

この海と台地を有する藤沢市から生まれたのが、ふじさわ生豚というわけだ。開発したのは有限会社NORMAという会社で、オーナーの高橋氏は元々藤沢駅近くでイタリア料理店を経営しており、店で提供する自家製生ハムの模索から、今ではハム作りが専業になってしまったそうである。

藤沢生ハムの紹介ページ

ふじさわ生豚は特約提供店で食べよう

さて、この藤沢産生ハムであるけれど、土産物屋等で気軽に手に入れることはできない。同じ株式会社NORMAが製造している、こちらも意欲的なご当地商品鵠沼魚醤については、藤沢市の土産として小売り販売もしているのだが(藤沢駅構内の観光案内所的なスペースでも売られていた)、生ハムは原木での販売で、生産数も限られているため主に特約提供店に回されているようだ。

藤沢・辻堂エリアの提供店8店

8.CAFE(藤沢市鵠沼花沢町1−5 8ホテル1F)

8hotel.jp

フジサワテーブル(藤沢市鵠沼花沢町1-5 8ホテル2F)

8hotel.jp

タントタント(藤沢市南藤沢15-15)

www.tantotanto.com

里のやきとり 石川店(藤沢市石川635-9)

r.gnavi.co.jp

PIZZERIA&DINING PICO 江ノ島店(藤沢市片瀬海岸1ー11−30)

r.gnavi.co.jp

フレンチバル来酒(藤沢市南藤沢23-2)

frenchbarquiche.com

Bistro辻庵(茅ヶ崎市浜竹3ー3−33)

ermitage-shonan.com

オーガニックグリル鵠沼海岸藤沢市鵠沼松が岡2-19−12)

organicgrill.jp

鎌倉・厚木の提供店2店

オステリア コマチーナ(鎌倉市小町2-8-9 秋山ビル2F4)

r.gnavi.co.jp

フィーコディンディア(厚木市旭町1-24-16)

www.ficodindia.jp

横浜エリアの提供店4店

横浜漁酒場 〇う商店 別館(横浜市西区高島2-10-4)

r.gnavi.co.jp

鎌倉野菜× ワインバル 横濱頂食堂(横浜市西区北幸1-4-1 横浜天理ビルB1)

r.gnavi.co.jp

横浜ビール 驛の食卓(横浜市中区住吉町6-68-1 横浜関内地所ビル1・2F)

www.umaya.com

アラ・コンタディーナ(横浜市南区中里1-7-3)

r.gnavi.co.jp

とりわけ気になる2店。行ってみたい理由

これらの提供店のうち、とりわけ行ってみたいと思うのはまず本厚木シチリア料理店フィーコディンディア。ラーメンうづまきの隣にあって、シチリアの三脚巴を掲げていて否が応でも気になる(笑)。それに、秦野から近い。そして横浜ビールの驛の食卓。横浜ビールは神奈川県地場産原料を使った意欲的なビールを醸造していて、地産地消つながりでふじさわ生豚を扱っているのかなと思う。日月桃のビールと一緒に楽しめたら最高だろうな。神奈川地場産贔屓!

秦野市の小学校給食に地粉小麦粉のパンが そして湘南の地場産小麦取り組みについて等

先日秦野市のホームページで調べ事などをしている際、市の発信する新着情報コーナーに、地場産小麦を使ったパンを市内の小学校給食で提供というニュースが上がっていることに気付いた。

市内全小学校で給食に秦野産小麦パンが登場

秦野産小麦のパンが給食に登場したのは、6月19日(金)。市内13の小学校で、秦野市菩提で収穫された小麦を使ったコッペパンが提供されたという。生産農家は小泉達雄氏とあり、おそらく市内農業者の任意組合として設立され平成24年に法人化された、株式会社大地という会社であろう。製パンは、平塚市に本社があり弦斎カレーパンなども製造している高久製パン。

秦野市では、今後も2、3ヶ月に一回給食で地場産小麦のパンを提供するつもりだという。一回目はコッペパンであったが、二回目以降はまた別のパンで提供の可能性もあるらしい。

湘南藤沢小麦の例に思い当たり、農業技術センターの取り組みを知る

小学校給食に地場産小麦のパンを提供するという取り組み、秦野市以外でも最近耳にしたことがあった。それが湘南藤沢小麦と呼ばれる、藤沢市のさがみ地粉の会が生産する小麦(品種はユメシホウ)。こちらは製パンも市内の長後製パンという会社が行っており、少なくとも平成22年から小学校給食に登場している。

湘南藤沢小麦については、湘南の名前を冠する地場産小麦について調べあげたエントリで言及している。

hadanon.hatenablog.com

平塚のご当地グルメ、湘南ひらつかカオリ麺の材料ともなっている湘南カオリ小麦を含め、湘南の地場産小麦が乱発しており、県外に売り込むためにはブランドが絞り込めていないなどと苦言を呈していたのだが、調べてみるとブノワトンの湘南小麦も含め、神奈川県の農業技術センターがこれらの小麦の地域ブランド化、地産地消化に絡んでおり、ブランド乱立の状況というのは神奈川県側としてもある程度想定済みの事態であるようだ。確かに、大きな括りで神奈川県産とか湘南産とかでブランド小麦を作っても、構成自治体の地産地消欲求は喚起しにくいかもしれない。対外ブランドに育てるのではなく、狭い地域の地産地消需要を喚起して付加価値をつける。

湘南の名前を冠する小麦は、「ふすま」の利用や麦踏み体験会の開催など売り込み方に類似点が多く見られたのだが、これも同じ農業技術センターの指導である事が理由なのかもしれない。いずれは秦野の地場産麦にも、湘南はだの麦とかそういった類いのブランド名がつけられるのかな、と予想しておこう。

 

(参考資料:農林水産省「小麦を使った生産者と実需者連携の新たな展開」PDF