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西湘のみかんとビールのコラボレーションという商品が異様に多い理由

ちょっと前にこのブログで紹介した、大磯こたつみかんエール。実際に入手して呑んだ感想エントリで、オレンジピールでなくみかんを使ったビールを日本産ビールの個性として海外にも売り込んでいけばいいと書いた。ひいてはそれが、大磯こたつみかんエールがそうであるような里山の景観保存へと繋がるであろうから、そういった試みが増えていって欲しいという大意であった。

けれども、冷静にふりかえってみると、大磯あたりで栽培されるみかんを使ったビールというものを、このブログでは何回も紹介している。まず、今年も4月に解禁となるであろう、サンクトガーレンの湘南ゴールド。使われている湘南ゴールドというオレンジは、温州みかんとゴールデンオレンジの交配で作られ、神奈川県ブランドに指定されている品種。栽培地は主に西湘で、もちろん大磯町でも作っている。

もう一つ、これは秦野産落花生使用地ビールである落花生の思いを紹介したエントリで一言言及したのみであるけれど、大磯産みかんを使った湘南みかんロー・モルトというビールがあった。

これらのビールは、それぞれコラボレーション先の地ビールメーカーが異なる。まず大磯こたつみかんエールは、湘南ビールの醸造元である熊澤酒造。湘南ゴールドはサンクトガーレン。そして湘南みかんロー・モルトは新潟麦酒だ。

ご当地の産物を原料としたビールが発売されると、物珍しさや郷土愛からご当地でもそこそこ売れるだろう。けれども、こんなに似たような商品が乱発されると、地元住民も「またか」という感じで受け止め、話題にならないのではないだろうか。そうすると地元での爆発的な売り上げが見込めないのは確定的なのだから、コラボレーションを持ちかける先の地ビールメーカにもなんだか失礼じゃないか?調べてみる前には、そう思ったりもした。

 

で、事情はこんな感じ。この3種類のビールで使われているみかんの品種はそれぞれ異なる。大磯町のAという地区では湘南ゴールドしか作られていなくて、Bという地区では別の品種…というような栽培のされ方ではなく、これらの品種は混在して栽培されており、それぞれ実が生って出荷できる時期が違う。だから少なくとも、みかん栽培農家の保護としてはこれらの品種全てを加工利用するアテを見つけなければならない。ということ。

実際大磯こたつみかんは12月には収穫を終えて、こたつみかんエールは2月頭に発売された。湘南ゴールドは極めて遅生の品種で、収穫が3月、ビールが出荷開始されるのは4月だ。湘南みかんロー・モルトは単発企画品であったため、よくわからないが、8月に発売されている。こちらはもしかしたら青摘み(みかんの間引き)したみかんを使っているのかもしれない。

つまり、季節ものとして出荷できる時期が異なるのだから、棲み分けはできている。地元でもそういった事情は理解されて、風物詩的扱いをうけるだろうから大丈夫なのだろう。

 

でも、同じメーカーに早生みかんと遅生みかんの両方を頼むような事は出来ないから、コラボレーション先をとっかえひっかえみたいな印象になってしまう。いっその事、大磯町に地ビールメーカーを作ってしまえば解決する。セゾンビールのように、農作業中に消費するようにすればよい。