鉄腕!DASH!!で紹介されていた湘南平塚産7種類のきゅうりについて調べてみた
農家であるTOKIOが日本全国の農林水産業や第6次産業について紹介するテレビ番組、ザ!鉄腕!DASH!!であるが、5月28日(日)の放送回で、当ブログでもちょくちょく言及することが多い平塚市の復刻品種きゅうり、「相模半白節成」が登場した。しかも、TOKIOのメンバーが出張DASH村で訪問した先がまさに相模半白節成復刻の担い手となった吉川貴博氏の農園ということで、湘南のきゅうり栽培最前線についても知ることが出来て面白かった。番組中の紹介を補完する形で品種紹介をしよう。
吉川氏の湘南きゅうり園について
TOKIOが訪れた湘南きゅうり園であるが、平塚市の城所(きどころ)という住所にある。平塚市に合併される前は城島(きじま)村と呼ばれた地区に属し、吉川氏の湘南きゅうり園についても、2015年に改名する前は城島園芸という名称の農園であったようだ(湘南きゅうり園ホームページ、Twitter)。
平塚市内と聞いて一般的にイメージされるような海沿いの場所ではなく、内陸も内陸で、周囲に農園や田んぼが広がる。実は平塚市ながら小田急小田原線の伊勢原駅にほど近い。
紹介されたきゅうりの品種7種類
きゅうりを専門に扱っている農園ということで、栽培しているきゅうりのバリエーションは7種類にもわたっているようであった。それぞれについて簡単にまとめてみよう。
兼備2号(通常のきゅうり)
通常よく見る特徴のきゅうり。と言っても、通常のきゅうりも日々進化しており、消費者が知らない間に地味に品種がアップデートされ続けている。兼備2号というのは埼玉原種育成会という種苗会社が2014年に開発した品種で、ハウス栽培用の複合耐病性品種。ちなみに兼備1号もあって、それぞれ植える時期が異なる。
番組を見てSNSなどで、「へぇ、普段食べているきゅうりは兼備2号っていうんだ」という反応があったけれども、それは間違っている。あくまで湘南きゅうり園で育てているきゅうりの内通常の特徴をもったきゅうりの、収録時にちょうど収穫された品種が兼備2号だっただけであろう(ホームページによると、他の通常品種も栽培している)。
相模半白節成(さがみはんじろふしなり)
1929年に平塚を含めた神奈川県内で栽培が開始され、1960年代以降、番組でも紹介されていたようにサラダに向いた品種に取って代わられる形で栽培されなくなってしまっていた品種。2010年より吉川氏が現代的なハウス栽培の形で復活させ、2011年より平塚市の「平塚キュウリプロジェクト」という第6次産業的なプロジェクトの対象となって、色々なメディアで紹介されて知名度を増した。もう少し詳しい話は別エントリで書こうと思っている。
フリーダム
表面にイボがない異様な見た目をしていたきゅうり。イボがないと食前に洗い流す手間がなくなる。また、イボの取れた跡から雑菌が入り込まない。サカタのタネが2001年から販売する品種。
四葉(すうよう)
中国語っぽい名前の、苦瓜のようなイボとシワだらけの品種。実際中国から韓国を経由して昭和19年に日本にやって来たとされる。派生種が多く、有名な派生種として四川がある。中華料理の炒め物でよく使われる。番組中でオイスターソース炒めにして食べられていた。
ガーキン
ピクルス用の小振りなきゅうり。国内栽培は珍しい。
うぐいす
色味の薄いきゅうり。埼玉県のときわ研究所という種苗会社で作られた。番組中では肉巻きフライにされて食べられていた。
純白(ホワイティ25)
半白どころではなく、全体にわたって白いきゅうり。奈良県の大和農園が販売。
ハウス栽培きゅうりの特徴
きゅうりは単位結果性という性質をもち、雄花と雌花が受粉しなくても実ができる。畑や家庭菜園で収穫されるきゅうりは飛来する虫達によって受粉が起こったきゅうりであり、きゅうりの中身の種が大きく育ち、食感が水っぽくなる。一方湘南きゅうり園のきゅうりはハウス栽培なのできゅうりが受粉しない。中身の種がなく食感が均一なので炒め物や漬け物など加工食品に向いている。
その他番組で紹介されていたもの情報
平塚生まれの米『はるみ』
平塚生まれのブランド米の『はるみ』である。コシヒカリとキヌヒカリをかけあわせた品種。日本穀物検定協会が毎年行う米の食味ランキングで、昨年2016年に神奈川県産の米としては初めて最高級評価である「特A」の評価を受けた。
その後話題となって品切れしてしまったため現在手に入れることはできないだろうが、新米の季節の10月初旬になればお目にかかることが出来るだろう。平塚市寺田縄にある湘南農協あさつゆ広場等で手に入るはず(湘南きゅうり園のきゅうりもここに出ている)。
tanto tanto
湘南きゅうり園のきゅうりが楽しめる飲食店として番組中で紹介されていた。昨年オープンしたららぽーと湘南平塚内にあり、地元野菜を食べられるイタリア料理店として話題になっている。サラダと前菜がビュッフェ形式になっているので、湘南野菜が食べ放題である。
身近な湘南(内陸部)が紹介されていたので気合いが入って紹介が長めになってしまったけれども、今回テレビで湘南きゅうり園や『はるみ』のことが紹介されたことで、湘南は農産物ブランドを"持っている"ということが広く知られたらさいわいなことだと思う。