湘南ブランド小麦を品種からみる
湘南に乱立するブランド小麦。この間調べ上げたエントリでは小麦の品種名に触れていなかったので、そこら辺を調べついでにまとめておこう。
湘南ブランド小麦の品種名
ブランド名 | 対応品種 |
---|---|
湘南小麦 |
|
湘南カオリ小麦 |
|
湘南藤沢小麦 |
|
WEB上の情報を集めたものであるので、間違いや抜けがあるかもしれない。国産小麦として長く不動の地位を築いていたのが、農林61号。うどんに適した中力粉タイプ。それに対してニシノカオリというのが、製パン適性があると言われている強力粉タイプ。キタノカオリやミナミノカオリという、同じく人名のような製パン用小麦もある。
南部小麦は元々うどん用だが、ねばり腰で製パンにも向くタイプ。ゆめかおりはニシノカオリを母とした品種。ユメシホウはニシノカオリよりさらに製パン性に優れる品種。
農林61号以外のどの小麦もグルテンが多く製パンに向くとされている。とは言え、湘南で伝統的に栽培されていたのはおそらく農林61号であったはず。
農林61号ではやっていけない理由
それならば、湘南地方の小麦栽培を守るためには、うどんなどに向いている農林61号を栽培し続ければ良いのではないか、という素人考えも浮かぶ。だが、オーストラリアでは日本のうどんにピッタリなASW(Australian Standard White)という銘柄を輸出しており、この銘柄を使うとモチモチとした食感やクリーミホワイトな色味といった、讃岐うどんブームなどで賞賛されそうな要素をもったうどんができあがるそうで、うどん用としても農林61号を始めとする国産小麦は劣勢であるらしい。すなわち、国産ブランド小麦の売り込み先として、それまで考慮すらされなかった製パン用というマーケットを開拓せざるを得なかったということだろう。
TPPのニュースに関連して、国内産小麦の保護について調べてみると、時代背景に大変影響され易く、国内産小麦を取り巻く状況がコロコロ変わっているということに気付かされる。その中で早くから国内産小麦に目を付け、保存に動いていた湘南小麦プロジェクトは大変な苦労であったのだろう、としみじみ思ってみたり。