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かつての秦野市名産、「波多野ダイコン」復活への取り組み

いささか旧聞に属するエピソードだが、2月23日のカナロコに掲載されていた記事。

幻の「波多野ダイコン」復活を、東海大生が研究に熱/秦野

江戸時代に秦野名産として江戸幕府にも献上されていたというダイコン、波多野ダイコン。1707年の富士山噴火による降灰のため、栽培が不可能になり、次第に秦野の名産は火山灰土壌でも栽培が可能な葉タバコにシフトしていったという。

以後、波多野ダイコンは長らく幻のダイコンであったわけだが、東海大学大学院の生徒がこのダイコンの種子が金目川下流域に流され保存されている可能性があるとして、下流域を調査。河口の平塚市内でそれらしき個体を発見し、現在復活、栽培化に向けて取り組んでいるようだ。

地域の特産品として売り出すために、主に生産合理化などの理由により失われてしまった古来品種を復活させるという取り組みは、全国の自治体で行われている。たとえば同じ湘南の平塚市では、40年前に栽培が途絶えてしまったというキュウリ、「相模半白節成」を復活させ、加工商品などにして大々的に売り出している。

面白いのは、東海大学院生の例もそうであるが、こうした古来種復活、特産品化の取り組みが、主に若者を中心として行われているということである。旧来の無個性な品種を作り続けることに危機感を感じているのは、これから何十年と先を考えなければならない若者達ということなのだろう。

 

さて、このニュースでもう一つ思い当たったことは、上流の作物が下流に流され発見されるという現象が、実例としてあるのだということ。上流からやってきたものを下流に住む者が手に入れ、結果富を手にするという話の流れは、桃太郎の物語に通じる。

桃太郎の話においては、良く知られている流れてきた桃を手にして、その中から子供が生まれるというくだりは歴史的主流エピソードではない。国定教科書に載せる段になってそのような改変があったわけで、それ以前では、流れてきた桃を食べたおじいさんが若返り、その結果子をもうけたとする回春型の話が多い。流れてくる種子が桃というのも、桃源郷などの仙人思想が根底にあると思われる。

けれども、その物語がある特定地域に根付く下地となったのは、上流から流れてくる何かを手に入れ、のちのち富に繋がったという史実ではないだろうか。そうした史実があったからこそ、物語は絵空事ではなく、歴史的事実と作り話の中間のような立ち位置を得ることができたはずである。

このような立場を表明する際に、実際作物の種子が下流で発見され、栽培化に至るということがあり得ることの根拠として、「波多野ダイコン」を挙げられるかな、と思ったのである。そのためにも、是非特産物化して全国的に有名になって欲しい。