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オート麦とスペルト小麦使用のベルギービール アーヴェルボーデ

クラフトビールが世界的に流行し、マイクロブルワリーが林立する時代になったことにより、世界中の誰にも把握しきれないほど、あまたのビール銘柄が世に存在する状況になった。そうなると生産者であるブルワーにとってみれば、数ある銘柄の中でいかに消費者の注目を集め、手に取ってもらえるかが重要となってくる。

それまで注目を浴びるビール銘柄というと、奇抜なラベルデザインのものであったり、あるいはいかにもビールの風味に合わないであろうフルーツ等を加えた飛び道具的ビールが目立っていた。ところがブルワーの戦国時代を迎えてしまうと、そういった飛び道具的ビールにもすぐに同コンセプトの競合製品が出てきてしまう。もっとマニアックなところで製品の差別化を行わなければならなくなったのだ。

古代製法とか材料の品種とかそういったマニアックなビール作り

その極致とも言えるのが、過去に作られていたビールの文献からの復刻とか、あるいは二条大麦ないし小麦+ホップという完成されたレシピを崩してのビール作り。そういう試みがあると耳に挟めばビールハンターはすぐに飛びつく。これまでも色々な試みを紹介してきた。

古代製法 ホップを使わないグルートビール
大まかな説明エントリうしとらブルワリーの若気競演を呑んでみたエントリ
スペルト小麦(ファッロ)使用ビール
大まかな説明エントリ
カムット小麦使用ビール
大まかな説明エントリ

アーヴェルボーデは復刻ビールかつスペルト小麦使用

ベルギーのヒューグ醸造所が作るアーヴェルボーデ(Averbode)もまた、一度製造が止まって失われてしまったビールを復刻したタイプのビールだ。アーヴェルボーデという銘柄は、修道院で作られていたアビービールというタイプになり、当の修道院は1134年にブリュッセルの北東に建てられたもの。かつてはビールの醸造に加えてチーズやパン、ワインの製造、出版事業なども行っていた。2013年にブランドを復活する形で外部の会社に製造委託を行い、チーズとパンとビールの製造を再開した。ビール部門を請け負ったのがヒューグ醸造所で、有名なピンクの象がラベルに書かれたビール、デリリウムなどを製造している会社である。


 

復刻に当たって、ヒューグ醸造所はただの古典ビール再現にとどまらない"攻め"の姿勢を貫いている。原料は2種類の麦芽、オーツ麦、スペルト小麦。それに4種類のホップを使い、ドライホッピングを行っている。

スペルト小麦の使用は、小麦アレルギーの回避のためというよりは、14世紀から始まった醸造では現代品種でない古代麦が主に使われていただろうという、製品のそれっぽさを出すためだろう。ただの復刻ビールよりも、ビールハンターのアンテナに引っかかり易い仕掛けにもなっている。

アーヴェルボーデを呑んでみました

そんな古くて新しいビール、アーヴェルボーデをたまたま見かけたので、購入して呑んでみた。

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修道院ビールの甘ったるい印象がなくて、モダンな辛口。青リンゴの香りが僅かにあって、スッキリと呑み易い。後からブワッと7.5%のアルコールがやってくる。パンにも合いそうだし、常飲用。でもこの辛みは何かの料理に合わせたい。瓶一本では足りない。もっとゴクゴク呑みたいと思えるビール。

マニアックだけれども、ぜひ人に勧めたい。このビールは個人的に当たり。