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鉄腕!DASH!!でTOKIOが栽培する小麦「春よ恋」だが、福島で収穫できるのか少し心配

TOKIOの『ザ!鉄腕!DASH!!』の企画で、現在世界一うまいラーメン用に小麦を育てている最中だという。育てている品種「春よ恋」については、特徴を調べて以前紹介したが、春に植えて夏の終わりに収穫できる「春麦」で、北海道のホクレン農業総合研究所で開発された品種であるため、栽培は北海道内限定、門外不出の品種であると紹介していたはずだ。

したがって、上記のエントリを書いた際にはてっきり番組でも北海道の土地で栽培をするのかと思っていたら、どうもそうではないらしい。TOKIOの思い入れのある福島県南部の、西白河郡の土地を使って栽培するという。番組内でも「春よ恋」を北海道外で栽培することについて、特別な許可があったとテロップで但し書きがついていた。

北海道外での栽培は異例

つまり、「春よ恋」を北海道外の土地で栽培するというのは、研究費が出てもおかしくないくらいの実験的な試みであろう。一応前身的な小麦品種である「ハルユタカ」は北海道外での栽培実績もあるようだが(ただ、北海道外で栽培された「ハルユタカ」は通常の栽培方法ではなく、種まき時期と収穫時期を早めにして梅雨前に収穫する「初冬播き」による栽培ではないかという疑問もある)、「春よ恋」が他県での栽培に適しているのかどうかは未知数だろう。最悪の場合、収穫できませんでしたという結末になる可能性もある。

夏期の降雨による穂発芽や病害の恐れが

何故北海道での栽培と他県での栽培で勝手が異なるのかというと、春麦の開花・収穫時期に雨が降る可能性があるからである。「春よ恋」の品種紹介で出てきた北海道斜里郡小清水町というのは、年間降水量757.0mmで、特に夏期の降雨が抜きん出て多くはない地域である(雨温図 - 気温と雨量の統計のページ)。一方、福島県西白河郡に最も近いと思われる福島県白河市の年間降水量は1410.9mm。夏期には降水量が200mm/月にまで跳ね上がる(雨温図 - 気温と雨量の統計のページ)。

麦の開花期に降雨があると「赤かび病」の原因となり、また麦の収穫直前に降雨があると、麦が穂に入ったまま発芽してしまう「穂発芽」が起こりやすい。そのため北海道のような夏少雨の気候条件で収穫に成功する品種が、そのまま本州で収穫に成功するとは限らないのである。

 

このように地域と結びついて開発された品種を他の地域に持ち出して栽培するということは、かなり難しい試みとなるはずであるのだが、番組のスタッフがそれを認識して何か成算があって今回の企画を立てたのか、少し気になったわけである。