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秦野市でSEOしつつ、神奈川県ご当地ネタ・地域情報を書くブログ。湘南・小田急線・グルメ・温泉がマイブーム。

バレンタイン近し!サンクトガーレンのバナナチョコレートスタウトを賞味!

毎年バレンタイン商戦を控えた1月くらいに発売されて、新聞記事などでも取り上げられることの多いサンクトガーレンのバレンタインビール。どっしりとした風味とアルコール感が素晴らしい定番のインペリアルチョコレートスタウトに、唯一通年販売をしているチョコビール、バニラチョコレートスタウト。それからチョコレートにフルーツフレーバーを利かせたビールとして定番ラインナップに昇格したオレンジチョコレートスタウト。この3種類に加えて、毎年新しいフレーバーのチョコビールが1種類加わる、というのが同社の例年のバレンタイン商戦である。

2019年新フレーバーバナナチョコレートスタウト

さて、2019年の新フレーバーは、お祭りの屋台で売っているチョコバナナを連想させるバナナチョコレートスタウト。これまで新フレーバーとして登場してきたビールの中には何故それを組み合わせた?と思ってしまうようなキワモノビールもあったのだけれども、今年のバナナ+チョコレートという組み合わせはハズれようのないド定番と言える。前回のエントリでレビューしたフルーツタルトエールの印象がそれほど良くなかったことや、バナナ+チョコレートの組み合わせがド定番のわりにビール界であまり試みを耳にしないという不安要素もあるが、本当に毎年の恒例行事として新フレーバーは試しレビューしているので、今回も人柱か幸運なアーリーアダプター(それほど早くもないけれども)のどちらかになるつもりでレビューしてみようと思う。

ちなみに過去のチョコビールレビューは以下のリンクから。

hadanon.hatenablog.com

hadanon.hatenablog.com

hadanon.hatenablog.com

hadanon.hatenablog.com

味の感想:バナナセーキとビターなスタウトの玄人向けフレーバー

それでは、実際に呑んでみよう。一口目からバナナの甘味がやってくるかな?という期待は裏切られ、味と香りは淡白に立ち上がる。やがて強くバナナを意識させる香りがやってくるのだが、これがバナナセーキの後味のような、バナナの果肉本体と言うよりは皮の内側にへばりついた白い部分、その香りだ。

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ちなみにこちらがバナナチョコレートスタウトのパッケージ

柑橘系のフレーバーでも、果肉本体というよりは皮の内側の白い部分の香りが目立つといったケースがままあるのだが、バナナについてもそれが当てはまるとは思わなかった。結果、屋台のチョコバナナから連想されるような甘味には繋がらない。バナナの白い部分フレーバーを楽しんだ後、チョコレートスタウト本来の香りがグッとやって来る。

そしてこのチョコレートスタウト部分だが、バナナとの相性のせいなのかそれとも今年のロットのせいなのか、例年よりも非常に苦味が目立ち玄人向けの味わいに感じられた。苦いビールファンとしては大喝采なのだが、前情報無しに贈られたら相手は困惑するかも。

結論、苦いビールファンとして今年のフレーバーは"アリ"である。ただこれも毎年の感想で書いていることかもしれないが、同社のフルーツフレーバーチョコビールを呑んだ後には王道のインペリアルチョコレートスタウトが恋しくなる。こちらも取り揃えてチョコレートスタウト尽くしの苦渋に満ちた(?)バレンタインを愉しもう。


 

サンクトガーレンの冬限定ウィンターフルーツタルトエールを滑り込み賞味!

神奈川県産のフルーツを使用したビールを毎年市場に出してくるビールメーカー、サンクトガーレン。その一番有名なものは、主に西湘で栽培されているオレンジ、湘南ゴールドを使用した夏季限定商品の湘南ゴールド。こちらは定番商品となっており、毎年4月14日のオレンジデーに解禁がされると全国のビアバーやビアフェスなどでフルーツビール好きの喉を潤すことになる。

今シーズンの冬季限定フルーツビールはイチジク使用

一方湘南ゴールド以外の同社フルーツビールは、定番化されずに1シーズンのみで姿を消してしまうものも多い。見たことのないフルーツビールを見かけたら、とりあえず何も考えず手を出してみることが肝要なのである。今回レビューをする神奈川県産イチジクを使用したウィンターフルーツタルトエールも、来年また出会える可能性は限りなく低い。発売期間は2018年11月28日から2019年1月頃となっているので、本当にギリのギリの紹介となってしまうけれども、見つけ次第確保して試してみよう。


 

ウィンターフルーツタルトエールを飲んでみた感想

イチジク使用のビールが何故シンプルにイチジクビールでなくフルーツタルトエールという名称になっているのかというと、おそらく市場での人目の引き易さのためだろう。イチジク以外の使用副原料は林檎、シナモン、ジンジャー、糖類となっており、秋冬限定商品として発売されたアップルシナモンエールにイチジクとジンジャーを加えたような構成である。

ウィンターフルーツタルトエールのラベル

ウィンターフルーツタルトエールのラベル

甘ーいタルトを想像させるラベルであるが、一口目の感想、「別に甘くない!騙された!」となること請け合いである。味わいの中で最も目立つのはシナモン、ジンジャーといったスパイスの部分で、イチジクの果実を齧ってすぐに遭遇するであろう甘味や酸味がなかなか見つからず、後味の方にジャムのようなベッタリ口の中に残る味わいが感じられて「そうか、イチジクのこの部分をとるか…」と唸ってしまう。毎度思うけれどもフルーツビールってフルーツの意図した部分が現れず作り手にとっても難しい題材なのだろう。あとは商品名でタルトを謳っておきながら、タルトの生地感はあえて目指そうとトライ&エラーした痕跡もなさそうかな、と感じてしまった。レシピを考えて作って出たとこ勝負のような。イチジクのフルーツビールとかタルト再現ビールとかそういう先入観無しで呑めば、呑み易い変わりビールではあると思う。

まかり間違ってもホットビールにしてはならない

原料的に林檎、シナモン、ジンジャー、イチジクなどあるから、ホットビールにして呑んだらいけるのではないだろうか、と試してみたが、これは大失敗。冷やした状態では控えめだった苦味と酸味がこれでもかと強調されて、漢方の苦い丸薬を液体にして飲んでいるかのようであった。

再度強調するけれども、先入観無しに普通の飲み方で呑めばあまり主張してこないところはあるので、話の種程度には試してみて面白いビールである。でも今後冬期商品として定番化はしないのではないかと思うので、そういった意味でも興味を惹かれたら見つけ次第確保しておくべき物件なのだ。

神奈川県産材料使用クラフトジン『The Japanese Craft GIN 黄金井』を呑んでみた

厚木市にはクラフトビールブーム黎明期より、クラフトビール醸造を行うブルワーが3社存在している。バレンタインのチョコビールや感謝の一升瓶ビールなどで全国的に見ても結構な知名度を持っていると思われる、サンクトガーレン。コアなファンが多く全国知名度はあまり高くない一方、各地の飲食店からオリジナルビールを醸造委託されるケースが多い厚木ビール。そして日本酒銘柄『盛升』の蔵元として今年丁度創業200周年を迎えた黄金井酒造。それぞれのブルワーで得意分野が違うが、共通するのは丹沢由来の豊富な地下水が利用でき、物流の拠点としても便利という厚木市のメリットを活かし事業を続けているということだろう。

黄金井酒造創業180周年を期に始まった『さがみビール』ブランド

さて3社の中でも最も酒造りの守備範囲が広いのが黄金井酒造。元々日本酒の造り酒屋として文政元年(1818年)に創業した黄金井酒造だが、昭和50年代より日本酒造りの際に出る酒粕を使った粕取り焼酎をラインナップに加え、その後米焼酎やリキュールなどの醸造にも手を出して行ったという。クラフトビールの『さがみビール』については丁度20年前の創業180周年を期に製造を始めたもので、フルーツなどの副原料が加えられることも珍しくないクラフトビールの特性を活かして、かぼすや桃など地元産の原料を加えたご当地ビールをこれまでにリリースしている。また醸造所の近くには直営イタリアンレストランのセルバジーナをオープンしており、窯焼きのピザとクラフトビールを一緒に楽しめる場所を提供するほか、年に一度の"さがみビール祭り"の際にはこのセルバジーナが会場となり、ビュッフェスタイルの料理とJAZZバンドによる演奏で地元の方でもクラフトビールファンでも楽しめるイベントを開催している。

創業200周年記念ジン『The Japanese Craft GIN 黄金井』

さて、先述のとおり2018年は黄金井酒造が創業200周年となる節目であったのだが、また新しい分野への挑戦をということで、近頃ブームになってきているクラフトジンの分野に参戦をしてきたようである。

クラフトジンというのはクラフトビールブームを踏襲する形で世界的に脚光が当てられてきた感もあるプレミアムなジンのことで、ジンに香り付けをするための植物原料"ボタニカル"を多いものでは数十種類加え、香りに深みと奥行きを持たせたジンのことである。

黄金井酒造が9月25日より販売開始したクラフトジン、『The Japanese Craft GIN 黄金井』は、ベーススピリッツに同社製の粕取り焼酎と米焼酎を使い、ボタニカルについては神奈川県産という縛りで9種類の原料を選びベーススピリッツへの漬け込みを行っている。その内訳は、厚木七沢産のカボスとどくだみ、相模原産の山椒、伊勢原産の桜花、大和産のレモングラス、清川産の茶葉、県産の湘南ゴールド、杉、檜ということだ。これにジンのアイデンティティーとなるジュニパーベリーを加えている。

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The Japanese Craft GIN 黄金井 500ml黄金井酒造スピリッツお酒 ジン
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呑んでみた感想…粕取り焼酎部分をどう評価するかで好みは分かれる?

この『The Japanese Craft GIN 黄金井』の価格は500mlで4500円、200mlで1800円ということで、試しに200mlの瓶の方を購入してストレートや割呑みなど色々試してみた。感想としては、確かにボタニカル由来の華やかな香りがあり、山椒や柑橘、茶葉など分かり易く感覚に訴えかけてくる。割って呑んだときに口の中に残り続ける芳香はひたすら楽しい。

ただストレートで呑んだときなどに顕著なのだが、粕取り焼酎の独特の香りが目立ち過ぎて、まあ粕取り焼酎そのものを呑んでいる気分になる(笑)。ベーススピリッツに粕取り焼酎と米焼酎を選んだのは手近だったからであろうが、個人的にはあまりクラフトジンの棚にこの製品が並んでいて欲しくない。黄金井酒造のコーナーに製品バリエーションの一つとして置いてある分には一向に構わないのだが。

ただ考え方によっては、ジンのボタニカル由来の香りがカクテルベースとしてその実力を遺憾なく発揮出来るように、粕取り焼酎の香りもスピリッツの味付けとして意外な可能性を見せてくれることもあるかもしれない。もしかしたらこの製品が遠く外国のバーにクラフトジンとして紹介され、粕取り焼酎の香りを新しいと思ったバーテンダーによって新たなエキゾチックなカクテルのベースとして使われるかもしれない。そう考えるとこの製品にクラフトジンというラベルがつくことは、確かに新しい市場の開拓方法として間違ってはいないだろうと思えるのだ。

ということで、そうした戦略込みではこの製品を評価したいかも。ジン好きの人にとっての粕取り焼酎入門としても面白いかもしれないので、まあどこかで見かけたらぜひ試してみて欲しい。

横浜駅FOOD&TIME内クラフトビール Antenna Americaを見に行ってきたなど

年中どこかしらが工事中という噂のある横浜駅。そんな横浜駅相鉄線)の駅ビル横浜ジョイナスもまた、地階を改装のためここしばらく工事中であったという。そのような情報、普段横浜駅などを全く利用しない田舎者は知るよしもないのだが、3月20日にFOOD&TIMEという名称でリニューアルオープンする地下食品街にアメリカのクラフトビールのインポーター、ナガノトレーディングのショールームテイスティングスペースがオープンするというニュースを耳にして、ついでではあるが知ることになった。横浜駅、行くのは何年ぶりだろう?その日は気温が真冬みたいに低かったのだが、クラフトビールに引かれた善光寺参りのつもりで重い腰を上げて見に行ってきた。

ジョイナス地下街はべらぼうに広い

まず新装オープンした地下食品街のFOOD&TIMEにたどり着かないといけない。横浜駅へは相鉄線で向かったため、相鉄の改札からエスカレーターで下に下りて地下街を目指すことになる。たしか先頭車両に乗っておけば、目の前に大きな改札があってそこを下るとジョイナスであったはず。

地下1階まで下りてみて、ジョイナス地下街の広さに愕然とする。地上部分の分かり易く長方形型の形状と異なり、地下街部分は複数の図形がくっついたような形状をしている。丁度横浜高島屋の地下1階をぐるりと取り囲む通路もジョイナスの扱いになり、最早地図を眺めてもどちらに向かえば良いのか簡単には把握できないような形状だ。

結局、FOOD&TIMEに向かうためにはエスカレーターを下りたところから東通りと呼ばれる通路を反対側の端まで歩いて、一度ジョイナス部分を抜けて連絡通路を通過しなければならないということが分かった。

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明らかに商業施設外っぽいところに一度出ないとFOOD&TIMEには行けない。

Tap数10とボトルビール、それにフードもあり

FOOD&TIMEの中はなかなか混雑していた。基本的に地下食品街の括りから出ないもので、各店舗が小さいブースを構えてお惣菜や軽食などを販売している。ただ購入したものを拡げて食べるスペースが広めに取られており、丁度商業モールのフードコートのような感覚で利用することも出来る。

そして、目当てのクラフトビールショップ、Antenna Americaもブースの1つとして入っていた。ドラフトビールやフードなどを注文できるカウンター部と奥の冷蔵ケース部分に分かれていて、ブース内に10席くらい座る場所もあるのでイートインが出来る。

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ドラフトビールはパイントサイズのみで大体1000円〜の価格。ラインナップは基本的に輸入会社直営のお店なので、他のどこのお店でも全く見たことのないビールというものは出していない。

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このお店のオープンを告げるニュース記事の宣材写真にはFOOD&TIME共有の広いテーブルスペースが使われていたため、実際に赴いてみると店舗部分の規模の小ささに少しガッカリするところはあった。今回の私みたいに、このお店自体を目的に横浜に行くというようなケースでは満足度が低い。それでも横浜駅から雨に濡れず行ける直結のクラフトビール屋ということで、駅で時間を潰す場合などに手軽に使えるのは便利なのではないかと思った。そしてビールに合わせるフードとして、目の前に無限のお惣菜コーナーが広がっているのが特に大きな強みではないかな。

サンクトガーレンの2018年版チョコレートビール 杏仁チョコレートスタウト

ええ、例年の如くレビューしますとも。厚木市にある地ビールメーカーのサンクトガーレンが毎年リリースする、バレンタイン商戦用チョコビール4種。その内の1種類は必ず新フレーバーとなっていて、多少のネタ切れ/無理筋感は出てきているものの、企画ものとしての面白さ以外にもビールのフレーバーの新しい可能性を示してくれるので、純粋なビール好きとして目が離せないのです。その本年版が杏仁チョコレートスタウトで、1月11日より発売が開始され早速酒販店の店頭に並べられている。販売に特に力を入れている店では、同社社長が登場する謎漫画がコーナーに掲げられている筈だ。そういったお店では売場の温度なども適切に管理されていたりするので、安心して購入に踏み切ろう。

バレンタインビールの4種ラインナップ

同社のバレンタインビールについて、おさらいをしてみよう。前提として、チョコレートビールと銘打っているものの原料にカカオなど本来のチョコレートを構成するものは使用しておらず、モルトをローストした際の香りでチョコレートの疑似体験を作り出している。この疑似体験を一番享受できるものがインペリアルチョコレートスタウトなので、サンクトガーレンのチョコレートビールを全く飲んだことがないという人はまずこれを体験してみて欲しい。

4種の内の1種、スイートバニラスタウトについては通年販売を行っている。同社のオクトーバーフェストなどイベント出店においても見かけることが多いビールなので、4種類の内どうしても1種類外して購入したい事情(予算とか)がある場合には、この通年販売のビールを外すのが良いだろう。

実際スイートバニラ以外3種類のセットも公式通販にある

 

オレンジチョコレートスタウトはバレンタイン4種ビールのレギュラーとなっているフレーバー。神奈川県足柄産のオレンジを加えて香り付けをしており、夏期限定販売の湘南ゴールドを先取りするような神奈川ご当地ビールだ。

2018年の杏仁チョコレートスタウト感想

そして杏仁チョコレートスタウトである。フレーバーに正真正銘の杏仁(杏の種の中の白い部分)を使用しており、またいわゆる杏仁豆腐に近いミルキーな感じを出すために乳糖を加えているという。

それでは飲んでみた感想。うん、サンクトガーレンのバレンタインビールの4種類目はこのところイマイチな感じのものが多かったけれども、今年の杏仁フレーバーはハズレではないと思う。

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瓶口ラベルに描いてあるWHOに怒られそうなパンダは、昨年話題になった厚木市のとなり海老名市の有鹿神社パンダ宮司に便乗しているの?と気になるが、贈答品としてのインパクトが感じられて良いだろう。

味の方では、杏仁の甘い香りと対照的な口当たりの甘くなさによって、チョコレート疑似体験の部分が引き立てられている。そうそうこういうのが良いのよ。杏仁豆腐を思って飲むと肩すかしもあるかもしれないが、フレーバービールとしては本来の味を邪魔しない好反応を起こしている。まあ、2杯目3杯目にはやっぱり本物のインペリアルチョコレートスタウトが欲しくなってくるので、単体のビールとして成功しているのかどうかは分かりません。

チョコレートっぽい香りと苦味を愉しむビールなので、チョコレート好きの甘党の人に贈って喜ばれるものではないと思うけれども、クラフトビール好きには概ね受け容れられるはず。"杏仁"とついているけれどもフルーツビールではない。メキシコあたりのビールから、「香りのこの辺がコーンなのかな?」とか穿って飲むタイプのビールファンにだけ超オススメ(狭い)。

29BYの新酒 吉川醸造「にごり酒」を呑む

伊勢原市にある唯一の日本酒蔵といえば、同市神戸にある吉川醸造である。菊勇という銘柄が有名で、伊勢原市内ではこの菊勇と書かれた看板を良く目にする。ちなみに菊勇の読み方は"きくゆう"で、山形県酒田市にある菊勇株式会社の日本酒"きくいさみ"との関係は無い。ついでながら酒蔵さんの名前も"きっかわじょうぞう"である。結構長い間、この読み方を間違えて覚えていた。

吉川醸造の特徴と、お酒のラインナップ

吉川醸造の酒造りの特徴として、蓋麹法が全グレードの日本酒の麹作りに使われているというものがあるらしい。蓋麹法は在来法とも呼ばれる古くからの麹の作り方で、麹蓋と呼ばれる容器に一升くらいに小分けした麹米を入れて麹菌を繁殖させていく方法である。小分けされているため菌の繁殖具合を見て麹室内での位置を変えたりして、品質を均等に保てるが、その分作業に手間や人員が必要になる。現在では容器をより大きくした箱麹法や、麹作り自体を機械に任せてしまう機械製麹法などが日本酒造りで使われることが多いが、吟醸酒などの高グレードの日本酒の麹作りにはやはり蓋麹法が採用されているらしい。吉川醸造では一度は麹作りを機械化したが、こだわりのため戻したということ。

お酒のラインナップは、菊勇の佳饌・上饌などの普通酒にそれぞれ甘口・辛口がある。そして純米酒の「相模大山」、本醸造と原酒で「大山の宿」という銘柄もある。そして大吟醸の「杜氏のよろこび」など。

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相模大山 純米酒 1,800ml
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吉川醸造にごり酒」29BYの感想

11月後半より伊勢原市内の酒販店には、吉川醸造の29BYの酒が並び始めた。まず第一弾として、「にごり酒」と「生酒」の2つのラインナップが出ている。ちなみにホームページによると吟醸酒吟醸純米酒は12月10日以降に出荷するらしい。

にごり酒」と「生酒」どちらもアル添。折角下位グレードの酒にまでこだわりの麹を使っているのだから、アル添せずに出荷すれば良いのに…とアル添苦手な私などは思ってしまうのだが、アル添の恩恵か「にごり酒」などは四合瓶で750円くらいで買えてしまう。さらに300mlの瓶にいたっては300円台。近隣の酒蔵でも一番早い29BYであったし、迷わず手を出してしまう。

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それでは味はどうか。確かに添加されたアルコールが上澄みの多くを占めているような気がするが、いやらしい味はしない。アル添容認派がよく、味を落ち着かせるためにわざとアル添している蔵もあると主張しているが(十中八九それはアル添蔵の片棒担がされている)、経済的理由以外にそういった役割も持ったアル添なのかもしれない。

口当たりとにかく鮮烈で、ブルーチーズの香りのようだ。甘ったるさが無いので、本当にチーズを楽しむように楽しめてしまうと思う。それでいて呑み込んでいくと発酵前の米の面影がとてもあり、新酒のよろこびを感じられる製品としてはこの上ない。

恒例のお約束であるが、最後の残りを熱燗にしてみる。うん、熱燗になると甘くない甘酒のようになってしまい、日本酒を呑んでいる感がなくなってくる。

この酒は日本酒だろうが洋酒だろうが酒の種類を問わないちゃんぽん呑みをする際の、1本目として是非呑みたいところ。忘年会や新年会の1本として是非どうだろうか。

湘南ベルマーレJ2優勝で見られたビールかけに吃驚

10月29日(土)にShonan BMWスタジアム平塚で行われた、J2第39節湘南ベルマーレファジアーノ岡山戦。J2の首位を走る湘南は、前日に行われたアビスパ福岡東京ヴェルディの結果により来期からのJ1昇格は一足先に決めていたものの、今節の1-1という結果をもって勝ち点を1積み上げ、その結果2017年の成績を首位で終えることが決定した。つまり優勝である。優勝オメデトウ。

セレモニーで披露された"ビールかけ"

ホームスタジアムで優勝が決まったこともあり、試合後には盛大なセレモニーが行われ、悪天候にも関わらず詰めかけた8780名の観客の前でシャーレが掲げられた。その様子はSNS等で逐一チェックしていたのだが、通常のJリーグクラブの優勝セレモニーと異なる、印象に残る場面が撮影されていた。それが、ビールかけである。

優勝チームのビールかけと言えば、とにもかくにもプロ野球チームのものが思い浮かぶ。ビールかけが始まったのは、キリンビールのサイトにあるコラムが主張するに、1959年南海ホークスの優勝で会場に用意していたキリンビールがかけられたのが日本初だという。チームに在籍していた米プロ野球経験者が現地のシャンパンかけ合いを真似して即席に行ったらしいが、これがその後も日本プロ野球の文化として定着していくのである。現在では優勝が決まりそうなプロ野球チームがあると、ビールかけ用のビールが一緒に試合の行われる会場まで転々と移動していく。

サッカーチームによるビールかけの例もある

欧州のサッカーチームの場合、他のチームスポーツと同じように優勝後シャンパンのかけ合いを行うことも多く、欧州サッカーを手本として輸入・吸収してきた日本のJリーグでも、優勝後にわざわざ用意したシャンパンをかけ合って祝福をすることが多い。炭酸が入っている酒であれば別に大量に手に入り易いビールでも良い筈なのであるが、なんとなくサッカー界に蔓延する、"野球とは違うんだぞ"感のためか、ビールかけによるセレモニーは避けられている感がある。これがなでしこリーグのチームの場合、そういった意地が存在しないため普通にビールかけが行われたりするので面白い。

ただ、欧州サッカーチームでビールかけが全く行われないわけではない。最近放映が多くなってきたブンデスリーガのチームでは、優勝セレモニーで現地醸造のビールをかけあうこともある。サッカーに詳しい人間であれば、常勝チームであるバイエルンミュンヘンのセレモニーでグァルディオラ監督が頭からかけられていたり、リベリーが飲酒NGであるイスラム教徒であるのに関わらずビールをかけられて激怒していた場面など思い浮かぶかもしれない。欧州にまねぶにしても、ビールかけがサッカーに全くそぐわないというわけでは決してないのだ。

日本サッカークラブチームによるシャンパンかけの翻案

優勝セレモニーでシャンパンかけの絵面を見せたいけれども、シャンパンが手に入りにくいという状況を解決するため、日本のサッカーチームではシャンパンの代わりに様々なものをかけあった前例があるという。

愛媛県にあるJリーグクラブ(現在はJ2)愛媛FCでは、2005年JFLで優勝を経験しJ2への昇格が決定した際に、愛媛名物であるポンジュースをかけあって祝福を行ったという。もはや炭酸すら入っていないのでどういう絵面になるのか計り知れないが、シャンパンかけの翻案というよりむしろ、NFLゲータレードシャワーを翻案したものなのかもしれない。

群馬県にあるJリーグクラブ(現在はJ2)ザスパクサツ群馬は、サポーターが草津温泉の湯もみの動作で応援したりととにかく温泉に縁が深いクラブであるが、2004年のJリーグ昇格決定時を始めとして祝い事があった際には、湯かけを行うらしい。もうこの湯かけレベルになってくると、シャンパンかけの翻案というよりは日本伝統の湯立神楽の延長として民俗学的研究対象とした方がよろしいのかもしれない。

湘南ベルマーレオフィシャルビールによるビールかけ

このように、財政的に大型クラブとは言い難い地域密着型のJリーグクラブでは、シャンパンを手配出来ない代わりに地域の特色をアピールする液体をかけあって祝福をする傾向が出てきている。むしろ、クラブマスコットにこれでもかと地域の意匠が盛り込まれるのと同様に、祝福セレモニーの際にかけ合う液体についても地域のアピールは欠かすことは出来ない、と変なハードルが設定されているようにも感じる。J1とJ2以下では雰囲気がまるで別のスポーツリーグであると感じるのも、こういったところが原因か。

そして、冒頭で紹介した湘南ベルマーレのセレモニーに戻る。このセレモニーで用意されていたビールは、厚木市の地ビールメーカーサンクトガーレンが製造する湘南ベルマーレのオフィシャルビールであったのだ。地域の特色をアピールする液体として、湘南で栽培がされているオレンジの品種、湘南ゴールドを使用したベルマーレビールはまさにうってつけであったに違いない。

ベルマーレビールの"中身"と思われる"湘南ゴールド"

 

ただのタイアップ商品というわけではなく、湘南の試合があるとスタジアムに屋台が出ていて注文することが出来る。"中身"ビールの"湘南ゴールド"は夏期限定販売であり既に手に入れにくくなっているが、ビールかけで使われていたもう1本のビールが"感謝の一升瓶ビール"。こちらは賞味期限が短め(30日間)なので贈答用には直前注文が必要だが、通年で販売している。

一升瓶に入ったビール

 

ということで、湘南ベルマーレJ2優勝ビールかけの何に吃驚したかというと、地域の特色も出しつつシャンパンかけのような絵面を出しつつ手に入り易さも解決するという方法として、地ビールを採用していたというのが妙案だと感じたからだ。

まあ、一介のビールファンとしては、今回ビールかけに使われたビールの税金がかけられた後の市場小売価格も知っているため、思わず反射的に「勿体ない!」と言ってしまいそうになったことも付け加えておく。プロ野球チームのビールかけを、第三のビール片手にテレビで見る野球ファンの気持ちが少し分かったような。