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秦野市でSEOしつつ、神奈川県ご当地ネタ・地域情報を書くブログ。湘南・小田急線・グルメ・温泉がマイブーム。

横浜金沢クラフトビールandグルメフェスタ ビールの感想(後編)

10月の3連休に八景島で行われた、横浜金沢クラフトビールandグルメフェスタ。後編ではビアフェスとしてこのイベントがどうであったかレポートしよう。

前編(イベント概観&フード編)はこちら

hadanon.hatenablog.com

ビールはチケット制。前売券がお得

ビールの代金については既に書いたとおりチケット制で、当日会場での購入は5枚綴り1750円(1枚350円)であった。1チケットがビール1杯(200mlくらい?)に対応しているので、こういったビアフェスでの相場としては平均的かあるいは少し安めである。それに加えてコンビニ等のチケットサービスで購入できる前売券が存在し、10枚綴りが3000円(1枚300円)となりお得感がある。

今回は前売券をあらかじめ購入し、現地窓口で10枚綴りチケット&スタンプ台紙2枚と交換した。10枚綴りといっても実際はシール台紙に10枚のシールが貼付されたもので、購入の度に売り子さんに渡して1枚ずつ剥がしてもらう仕様となっている。出店ブルワーが大手のアサヒビールを加えて13ブルワーあり、各ブルワーのビールを注文する毎にスタンプが獲得できる。スタンプが5個貯まるとお土産抽選に参加できる仕組みなので、出来るだけ被らないように各ブルワーのビールを飲んだ方が得である。そういった仕様により13ブルワーの中からどの10ブルワーを選ぶか、さらに選んだブルワーのどの1杯を選ぶかについてジレンマを抱えるイベントであった。相場以下とはいえ、チケットの追加購入はやや割高になってしまうためである。10枚購入者のための追加ディスカウントチケットとかあったら気の済むまでおかわりをした可能性もあるので、ほど良いリミッターになったのかもしれないが。

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中国四国地方ブルワーの多い面子は、つまり吉備土手下麦酒繋がり?

横浜金沢クラフトビールandグルメフェスタの開催概要について書いたエントリで、列挙した参加ブルワーが何故か中国四国地方に偏っていることに疑問を感じていた。これについては、おそらくイベントの中心的な実行者となったであろう地元ブルワー2社の内の、横濱金沢ブリュワリーからの繋がりなのかもしれない。横濱金沢ブリュワリーは醸造の開始に当たって高円寺麦酒工房の元に学びに出たという。そして高円寺麦酒工房は、岡山の吉備土手下麦酒に学んで工房をオープンした。吉備土手下麦酒が開業支援をしたブルワーが今回の出店者のほとんどを占めていたので、出店者が中国四国地方に偏った理由は、吉備土手下麦酒フォロワー大集合イベントという側面があったからではないだろうか。次回以降あれば、やはり似た面子になる可能性が高いだろう。

印象に残ったビール

10ブルワーの10ビールを試して、特に印象に残ったものを紹介しよう。

ウェラワン クラフトエールスター

ウェラワンは日本の大手ビール・ウィスキー会社のOB達を集めて製品造りをしている会社であるらしい。けやき広場やビアフェス東京などにも出店しており、既にどこかで出会ったことがあるビールファンも多いだろう。今回のフェスの自己紹介文はこのような感じ。

ウェラワン製品はすべて、日本の大手ビール・ウィスキー会社のOB達が、長年日本で培った技術と経験からくるひらめきで、日本人の口に合うように開発製造を東南アジアの醸造所で行っています。

話の流れ的に、そこは日本国内製造じゃないんかい!と突っ込みたくなる。けれども国外製造であることは指摘されないと気付かない程度には日本人向けの味であった。今回飲んだビールの中では、唯一のボトルビール。Alc.12%のバーレイワイン。

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直営通販で缶セットが買える

 

Awa新町川ブリュワリー 新町川すだちハニー

徳島名物すだちハニーである。フルーツビールは各地の醸造所が地元特産物を使って挑戦し、その醸造所の看板となることも多いのだが、ビールファンにとっては大体事前の想像通りの味であることが多い。このビールもベルジャンスタイルに、少しすだちの柑橘系の香りがするビールなのかと予想して飲んでみたが、あまりのハニー分(飲み易さ)の高さに予想を裏切られる感じであった。すだちハニーが9のビールが1くらいの割り切りであるが、意表を突くというか、フルーツビールの可能性を拡げるという点では良いのではないかと感じた。

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南横浜ビール研究所 横浜市大アンバーエール(仮)

地元ブルワー2社のうちの、横濱金沢ブリュワリーでない方である。テントは2社が並んで配置されていた(写真左側)。

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2016年4月の創業と新しいブルワーである。アンバーエールは横浜市金沢区にある横浜市立大学の学生と共同開発し木原研究所栽培大麦を使ったビールの、第2段であるそうだ。

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凄く気になった点…横浜市立大学と同大の木原研究所と言えば、サンクトガーレンが今年発売したミカモゴールデン使用の『KORNMUTTER 麦畑の精霊』が思い浮かぶ。おそらくWEB上で「横浜市大 ビール」とかで検索すると9割方このコルンムッターの情報が出てくるだろう。

そこで売り子をされていた方にコルンムッターとの関係をうかがってみたら、「それより美味いです」という簡潔な回答が返ってきた(笑)。にわかにこのブルワーを応援したくなったのであった。

スタンプ抽選会でお土産を獲得

17:00になると、ステージにてお土産の抽選会が始まった。会場アナウンスでも言及していたが、わざわざ別ブルワーのビールを5杯以上も飲む客はそうそう居ないため、非常に競争率の低いガバガバな抽選になっていたようだ。こちとら前売チケットのおかげで10杯、つまり5杯で完成するスタンプ台紙2口も応募をしていたため、順当にお土産にも当選してしまった。

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当選したのは、金沢区のシャーロンという洋菓子店のスモールポテトパイ。同店の名物らしく、控えめな甘さとお値段、そして日持ちの良さなどちょっとしたお土産にうってつけな洋菓子であった。

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そういった嬉しい出来事もあったため、総合的にみてこのイベントは非常に愉しめたのでした。何より、横浜でも横須賀でもない金沢区特有の個性のようなものを発見できたのが、収穫であったと言えるのではないかな。

横浜金沢クラフトビールandグルメフェスタ イベント感想(前編)

10月の3連休に八景島シーパラダイスのアクアミュージアム前広場で開催された、横浜金沢クラフトビールandグルメフェスタ。同じ横浜市(と言っても、八景島はほとんど横須賀市のような位置であるけど)の赤レンガ倉庫では毎年恒例のオクトーバーフェストが開催されている時期だというのに、あえて新規にビアフェスを企画して集客を目論もうというのであるから、全く無謀勇敢である。そんな勇敢さと、あらかじめ主催者によって発表されていた参加ブルワー顔ぶれのレア感に誘われて、クラフトビールイベントのためだけに八景島に足を運んできた。

会場へのアクセスで遠回り

イベント会場のある八景島には、最終的に徒歩で上陸をする必要があると考えた(ビールイベントなので、車は使えない!)。ところがイベントのホームページや、八景島シーパラダイスのホームページでアクセスについて調べてみても、八景島駅までの行き方はあれどそこからどのように上陸するか、徒歩で何分くらいかかるのかなどについて書かれていない。そしてGoogle Mapsで見るかぎり、八景島駅で降りてしまうと目の前は海。鉄道駅からの最短距離を探すならば、金沢シーサイドラインの市大医学部駅から延々と歩いて島の真北から上陸する必要があるのだと結論付けた。

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結論としては、その結論は全くの間違いであった(笑)。Google Maps八景島駅方面から伸びる半島を拡大すると、薄い灰色で海の上に4本線が。橋が繋がっていて、その上を渡れるようになっている。

何故真北方面からの橋が太い線になっていて、八景島駅目の前の橋が拡大しないと出てこない線になっているのか分からないが、Google様のおかげで会場まで遠回りをする羽目になった。疲れた。早くビールが飲みたい!

イベント会場とステージの様子

イベントは入場料のかからない、アクアミュージアム前広場にて行われていた。広場中央にテーブルがあって、その両脇を連結した販売テントが囲むレイアウト。

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さらにその奥側にはステージが用意されており、アイドルやシンガー達が絶えず持ち歌を披露している。

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今回初開催のイベントなのに人出が沢山あるのは、シーパラダイス自体の集客力によるものが大きいだろう。年間パスポートやシニア料金などがあるおかげか、あまりビアフェスで見ない客層もあって新鮮だった。

地元グルメを堪能

クラフトビールandグルメフェスタというイベント名称のとおり、出店者は全国のクラフトビールブルワーと、地元グルメを中心とした屋台である。

フードは是非金沢区らしいものを見つけて食べようと思ってブラブラ歩いていたのだが、魚の練り物に昆布入りタルタルソースをかけて挟んだハンバーガーを発見。昆布は金沢文庫なだけに、文庫のコンブとして売り出しているらしい。

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主役となる海産物だけでなく、野菜やバンズも含めてクオリティが高く美味しかった。値段も500円と手頃だし、是非ご当地バーガーに昇格してもらいたい。

その他の地元っぽいグルメ。ビールのイベントらしく焼き鳥の屋台が出ており、食欲をそそる煙の臭いを発していた。そのラインナップの中に横浜金沢野島産海苔佃煮を使用した鶏もも串を発見。

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実際グルメにとってはちょっとした味付け程度であるが、こうして出店者が横浜金沢名物の名前を露出して宣伝することで、「横浜にも意外に名物があるんだ」とイベント参加者に認知してもらえる機会となるのだ。

地元グルメという点から言えば、このイベントに参加した結果シャーロンのスモールポテトパイも食べることが出来たのだが、それについては後編で、ビール部分のレポートとともに詳述しよう。

神奈川10月ビアフェスの伏兵?横浜金沢クラフトビールandグルメフェスタ

オクトーバーフェストの開催が増えてきた。特に10月7日(土)からの3連休は、各地のビアフェス開催が被るのでしっかりと計画を立てて、取捨選択をしないといけない。そんな話を前回オクトーバーフェストKAMAKURAの紹介をしつつ書いた。

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横浜八景島で行われるクラフトビールandグルメフェスタ

前回エントリの話の流れは、ドイツバイエルン州の本家オクトーバーフェストローカライズしたドイツビールのイベントを楽しみたいのならば横浜赤レンガ倉庫に行くべきだし、赤レンガ倉庫で出店している横浜ビールとサンクトガーレン以外の神奈川クラフトビール(湘南ビールの熊澤酒造以外)を求めるならば鎌倉のイベント。熊澤酒造を求めるならば茅ヶ崎市にある同酒蔵の併設レストランに行くべしという話であった。

ところが今年2017年は、調べてみると意外なビアフェスの伏兵がやはり3連休に開催予定であるようだ。それが横浜八景島で3日間行われる、横浜金沢クラフトビールandグルメフェスタ。その伏兵具合たるや、神奈川のビールに別に興味を持っていないビールファンであっても、他のイベントを差し置いて参加したくなってしまうような出店者の顔ぶれなのだ。

開催概要や価格設定など

イベントの基本的な情報についてまとめてみよう。開催場所は横浜八景島シーパラダイスのアクアミュージアム前広場。シーパラダイスの各アトラクションを楽しむには入場料が必要だが、広場までであればとりあえず無料である。開催日程は10月7日(土)・10月8日(日)・10月9日(月・祝)で、土日は11:00〜21:00まで。月曜日は11:00〜17:00。

ビールについてはチケット制で、1杯200mlがチケット1枚350円に対応する(5枚単位から買える)。前売りチケット10枚つづりは3000円なので、クラフトビールが1杯300円から飲めてしまうというフトコロにも優しいイベントだ(同じ横浜の赤レンガ倉庫の1杯で何杯飲めるかっちゅう話ですよ)。

ビールと並んでイベント名称となっているグルメは、主に横浜市金沢区の店舗が参加している。ご当地グルメ的な軽い食事から、完全な飲み屋料理まで。その他復興支援で10月8日には被災地の秋刀魚が出るらしい。グルメの方の支払いは現金。

マイクロブルワーが多い出店者

クラフトビールの出店者だけれども、以下の名前が並んでいる。

ひゃあ!ほとんど知らない名前。それもそのはず、呼んできているのはほとんど醸造所のある地元にしか出していないであろうマイクロブルワーばかりだからである。妙に中国四国地方に偏っているのが引っかかるが、こんな一期一会なラインナップ、麦汁ならぬ脳汁が出るでしょ。

その他大手ビールメーカーではアサヒビールが飲めるようである。それにしても、普通のビールイベントではない。やはりオクトーバーフェストが同時多発的に開催される日程だからこそ、こういったニッチなニーズに応えるイベントも発生してくるわけだ。

ちなみにこのイベント、横浜市金沢区の区制70周年記念プレイベントと位置づけられているみたい。是非メモリアルイヤー関係無しに毎年企画して欲しいものです。

追記:行ってきたレポ書いた

その後、実際に行ってきたわけだ。秀逸なる前後編レポート!

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鎌倉市のオクトーバーフェストKAMAKURA 10月7日・8日に開催

それにしても日本全国、様々な場所でオクトーバーフェストが開催されるようになったものだ。

横浜赤レンガ倉庫オクトーバーフェストは今年16回目

神奈川県で一番有名なオクトーバーフェストと言えば、やはり横浜赤レンガ倉庫オクトーバーフェストで、2017年は9月29日(金)〜10月15日(日)の17日間ずっとドイツビールの祭典が続く。同会場でゴールデンウィーク中に行うフリューリングスフェストと同じく、ドイツバイエルン州のビール銘柄を勢揃いさせて、その他地元の横浜ビールや神奈川県最大手のサンクトガーレンなども出店するイベントである。今年の開催は既に16回目であるらしく、神奈川県民がオクトーバーフェストと聞くと大体赤レンガ倉庫のものを最初に思い浮かべるほど浸透している。ドイツ音楽楽団によるステージもあり、本来のオクトーバーフェストに近付けようという努力がかろうじて見て取れる。

鎌倉市にもオクトーバーフェスト。今年で6回目

一方、バイエルン州の特定のお祭りではない、一般名詞としてのオクトーバーフェストも各所で勝手開催されている(3年前、2014年の県内開催状況をまとめた記事はこちら)。クラフトビールのメーカーが自社レストランで行う祭をオクトーバーフェストと称していたり(湘南ビールの熊澤酒造など)、自治体や街が観光イベントとしてビールメーカーを呼んでオクトーバーフェストの体にしていたり。

後者のタイプとして、今年6回目の開催を迎えるのが鎌倉市のオクトーバーフェストKAMAKURAだ。6回目というとやや新し目のイベントに聞こえるが、オクトーバーフェストが雨後の筍のように増えて各イベントで出店者や客の取り合いになってしまった結果、中止となってしまったケースが多いので、6回もイベントが続いているというのは貴重なベテランイベントなのである。

開催概要と出店ビール

開催概要。まず日程については全国オクトーバーフェストのメッカ的な日程である、10月7日(土)と10月8日(日)。7日は12:00〜20:00で、8日は11:00〜19:00となっている。場所は鎌倉市役所の駐車場。鎌倉商工会議所青年部主催なので、堂々と自治体バックアップのあるイベントなのだ。入場料は無料で、ビールの購入はチケット制1枚400円(昨年は350円だったけれど、それはまあ)。フードは現金購入となる。

出店ビール銘柄だけれども、地元の鎌倉ビール出店は勿論、神奈川県のクラフトビール銘柄が程よく揃っている。そして震災の復興支援も兼ねて、東北や西日本のビールも招待されている。

  • サントリー
  • 鎌倉ビール
  • 箱根ビール
  • 厚木ビール
  • さがみビール
  • いわて蔵ビール
  • 松島ビール
  • 猪苗代地ビール
  • 萩ビール
  • 不知火浪漫麦酒

この復興支援で呼んでいる銘柄が、あまり県内では見ないものもあったりしてこのイベントの特色となっている。赤レンガ倉庫のオクトーバーフェストに県内から出店しているのが横浜ビールとサンクトガーレンだけという状況に異議を申し立てたい県民などは、裏番組的なこちらのイベントに行って、ついでに東北と西日本の未知のビールとの出会いを期待するというのもよいだろう。地元支援&復興支援。

よなよなエールリニューアル 新旧の味を飲み比べてみた

日本のクラフトビール界でシェア的に圧倒している、長野県軽井沢に本社があるヤッホーブルーイング。1996年に星野リゾートの現社長である星野佳路氏が米国で飲んだエールに感銘を受けて設立した会社で、翌1997年より醸造・販売を始め今年で販売商品は20周年を迎えるという。そしてそれに伴い、同社の主力商品としていまやコンビニの棚を占拠するまでにポピュラーとなったよなよなエールの、パッケージと味をリニューアルすることとなったらしい。

よなよなエールは現在新旧の味が混合状態

飲食店向けに樽で販売するよなよなエールについては、新味への切り替えが同社直営店を嚆矢として9月11日から行われている。また缶のよなよなエールについては、同社直営通販サイトから先行販売分が9月8日より注文者の手許に発送されたほか、9月11日より成城石井で独占先行販売が開始され、その他の酒販店やコンビニ等では10月中旬頃までに新味と旧味の全面的な切り替えが予定されているという。

ちなみに同社通販は9月27日より新味に切り替え済み

 

旧味は10月中旬までにまとめ買いで確保の必要があるかも(※リンク先も予期せず切り替えの可能性あり)

 

つまり、新旧缶のよなよなエールを買ってきて、飲み比べ的なことを行うチャンスはまさに今だけである。飲み比べてみたエントリをブロガーに書かせてやろうという同社の広告戦略にすっぽり嵌まっているような気がするが、新味に全て切り替わって旧味を思い出せなくなってしまうことがないように、しっかりとそれぞれの感想を残しておこうと思う。

新旧よなよなエールパッケージの変更

混合状態であるならば、何気なく手に取ったよなよなエールの缶が新味なのか旧味なのか判断するのが難しいだろう。厄介なことに、新旧パッケージにはほとんど差が無いときた。そこで相違点を2者並べた写真で解説しよう。まずは表面。

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左が新味、右が旧味のパッケージである。新味の方が月の色が薄く見えるのだが、これは印刷上の誤差なのか、そこは判断がつかない。だが一点確実な相違点となっているのが、新味は下部の説明文がクラフトビールとなっており、旧味は香りのエールビールとなっている。よなよなエールがコンビニに並ぶようになるまではただのビールと思って手に取った客が大手メーカービールにない香りにビックリしないように、香りのエールビールという説明文を入れたかったのではないだろうか。一方クラフトビールがメジャーとなった現状では、コンビニのような一般販路に並んでいるということで大手メーカーの企画ビールと思われてしまわないように、クラフトビールであることを強調したいのかもしれない。続いて裏面。

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同じく左が新味、右が旧味である。旧味の方はポエミーで若干上から目線の指示書きが書いてある。それが新味になって、裏面も月を浮かべたデザインに変わり説明文が読みにくくなった。やっぱり文面はポエミーだが、客があえて読もうと思わなければ気付かれないだろう。

新味と旧味の比較。これは賛否が明白に分かれそう。

それじゃあ中身についても比較をしてみよう。果たして味の変化に気付けるのかどうかの腕試しも兼ねて、あえて新味の方から飲むことに。

これは、全然旧味と違う。大リニューアルだ。旧よなよなエールと比べて香りがスパイシーになって、味の余韻はスッキリではなくチーズのような残り方がする。ブラックペッパーが入ったおつまみ用のダイスチーズみたいな印象だ。少々玄人向けのビールになったのではないかと思う。委託醸造を行っているのはキリンビールである筈なのに、大手メーカービールで喩えるならばそこはかとないサッポロ臭がする。

一缶飲みきってから、旧味の方にも手を付ける。これは飲み慣れたよなよなエール。香りがとても立って、すんなりと最後まで同じ印象で飲める。よなよなエールが一般人をクラフトビールの道へと引きずり込むことができたのは、この分かり易さがあってこそのものだと思うのだ。クラフトビール好きにも悪くない印象を与えるし、ライトな酒飲みにも香りの良いチューハイのような感覚で受け容れられる。この味がもうなくなってしまうのはひたすらに惜しい。

ということで、今回の変更は賛否が人によって著しく分かれそう。と締めつつも個人的な心情としては旧味の方を持ちたい。旧味はクラフトビール入門者に凄く勧め易く、「とりあえずよなよなエールコンビニで買って飲んどけ」と考えなしに言えたのだけれども、これからどうしようか、といった新たな悩みも抱えることとなった。

玉櫻酒造 『玉櫻 夏純米』

夏の暑い時期に呑む日本酒は難しい。

日本酒の愉しみ方は、色々な派閥はあるだろうと思われるものの、酒米の風味のふくよかさを口の中で感じることであるという考え方は、かなりの賛同を得られるものであると思う。なにしろ米を原料に作った酒であるので、米の風味を感じなくても良いのであれば、別に日本酒でなくても良いではないか。そこで米の種類であるとか、精米歩合であるとかが重要な事柄として、酒のパッケージに記載されているのである。

夏は日本酒を呑みにくい季節

この日本酒を特徴付けていると言える米の風味であるが、連日真夏日猛暑日が続く季節においては酒を呑み進める妨げとなる。暑さに対しては、ビールのような炭酸で流し込める酒や、蒸留酒のようにロックで高い度数のアルコールを一気に流し込み酔うことの出来る酒の方が適している。日本酒には主食である米のイメージがつきまとい、夏バテ気味の体に重い食事を摂っているようで辛いという感覚もある。そして何より日本酒の暦を鑑みたときに、夏に出る酒というのが新酒の時期を外した古いものであるということを知識としてもっていれば、夏の日本酒というのはますます呑みにくいのである。

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玉櫻酒造 『玉櫻 夏純米』は米の風味をあきらめない夏酒

では日本酒蔵の各社はどのように夏の季節の酒を売っているか。各社の考え方の違いにもよるが、春先に火入れして夏を越し、2度目の火入れを行わず秋に市場に出す"ひやおろし"を少し早めに投入して夏酒として売っている蔵や、にごり酒を筆頭としたスパークリングタイプの酒を販売する蔵、そして一切の火入れを行わない生酒をそのまま夏酒として売り出す蔵もある。

今回紹介する島根県玉櫻酒造の『玉櫻 夏純米』は、火入れ1回の夏用純米酒である。同社の夏酒にはこの夏純米と、『玉櫻 涼風純吟』という精米歩合の高い純米吟醸ベースのものがあり、夏純米の方は四合瓶で1200円程度で買える。運が良ければ、近辺では厚木の寿屋酒店に置いてあるかもしれない。

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瓶から盃へと注ぐと、多少黄色みがかって美味そうな液体に対面することとなる。夏酒というから涼しそうな無色透明に近くなるのかと思いきや、これは意外である。

冷やした『玉櫻 夏純米』を呑んでみると、確かに呑み易いように諸々の味の立ち上がりが遅くなっている気がする。アルコール度数が14度と低めなのも、加水をしている結果であろうか。ただ酒米の風味しっかりで、酸味と苦味がヨーグルト系飲料のように強く起こる。夏酒だからと言って米の風味を諦めたりはしないのだ。

燗酒にしても勿論良し

四合瓶の8割ほどを呑み干して、さて残りをどうしようかと考えたとき、燗酒にすることを思い立った。夏に燗酒というのは苦行であるが、このお酒は燗にしても絶対に美味いという確信があった。そして、実際熱燗にして呑むとより苦味が際立ち美味い。冷酒派の自分が転向してしまいそうだ。

玉櫻酒造は島根県邑智郡邑南町という島根の山どころにあって、その辺りの街並は耐寒性をもった石州瓦のオレンジ色屋根が美しい。燗酒のメッカでもあり、酒蔵がまさに燗酒の布教を標榜している節もある。燗酒に転んでしまったのは、酒蔵の思惑にハマってしまったのか、それとも夏が終わり涼しい秋がとうとう訪れたからなのか。いずれにせよ、これからの季節にありがたい日本酒の銘柄として、玉櫻の名前を覚えておこうと思った次第である。

宴会の最後にだらだらと燗で呑み続けられるよう加水された"殿(しんがり)"

 

古式にのっとった生もと造りの純米酒。勿論燗で呑むことが推奨されている

 

HUB Long Root ALE 多年生麦カーンザ使用のエール

珍しい材料を使ったビールならば、無類のビール好きとして無条件に飛びつかざるを得ない。おまけにこのブログ、何故か小麦関係の情報(スペルト小麦カムット小麦)を求めて訪問してくる人達が多いものだから、今回の題材はそういった訪問者にも訴求力あるものであるはずなのである。とにかく、理由を用意して呑もう!

今回のビールは、HUB Long Root ALE!

というわけで、今回紹介するのはアメリカのオレゴン州ポートランドにあるブルワリー、HUB(Hopworks Urban Brewery)がリリースしたLong Root ALEである。

まず、HUB(Hopworks Urban Brewery)について

HUBと言えば、キース・へリングのアートのような力強い主線のロゴやラベル絵を用いるブルワーで、一言で表すならばとてもコンセプト重視なオレゴンのブルワーである。2007年の醸造開始からずっと、環境に配慮したサステイナブルなビール作りをテーマとして掲げており、醸造所兼レストランはブルドーザーのショールームとして使われていた既存の建物を流用し、なるべく再生材料を使用する形で作られた。そしてブルワーの1作目として発表されたOrganic Hopworks IPAから、オーガニック原料を使ったビール作りを続けている。

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HUBのこうした徹底的な環境重視の姿勢は、星の数ほどもあるオレゴンのブルワーの中で同社を際立たせる充分な材料となっている。ただそれ以外にも同社のコンセプトが光る分野は存在し、2011年に創業地と同じポートランドに立ち上げた2店目のブルーパブは、"BikeBar"という名前でポートランドのメジャーな自転車コース途中にあり、自転車に関連づけられた内装と多数の駐輪スペースを有する。そしてそうした自転車ライダー達へのアピールは、同社の様々なビールのラベルに描かれた自転車に関連するグラフィックなどにも見て取る事が出来る。


 

アウトドアメーカー"パタゴニア"ブランドのビール

そうしたコンセプト重視の同社に、アメリカのアウトドアメーカー、パタゴニアが新しく立ち上げる食品ブランドパタゴニアプロヴィジョンズの製品としてビールの共同開発を持ちかけた。結果出来上がったのが、Long Root ALE。こちらの製品もそれまでのHUBがそうであったように、画期的なコンセプトを持っている。

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原料の一部に多年生小麦"カーンザ"を使用

通常、ビールの原料となるのは大麦小麦の麦芽、そしてホップ。大麦小麦についてはその大部分が一年生であり、毎年畑に種子の状態で播かれ成長して実をつけると収穫され、栽培サイクルが終わる。翌年はまた畑の土壌を耕し直して、肥料を播いて播種することになる。

このように人類が知っている麦と言えば一年生というのが常識であり、それは世界各地の古い暦に毎年の麦の種まきタイミングを示す節目があるということからも分かる。古代小麦のスペルトやカムットであっても一年生なので、少なくとも数千年間人類は一年生麦に頼り切ってきたということがわかる。

パタゴニアが問題提起したのは、この一年生麦の利用が土壌の持つ本来の力を失わせ、肥料の投入なくては栽培が成り立たない仕組みを全世界的に作り上げているということ。化学肥料メーカーにとっては都合の良い話であるが、その土地とは関係ない遠い場所から持ってきた栄養で作物を作って、その分の栄養をまるまる遠い輸出先へと出荷してしまうという仕組みはサステイナブルであるとは言い難い。そこで、アリゾナ州のランド・インスティチュートというNPOが開発した"カーンザ(Kernza)"という多年生小麦の導入を促進するため、パタゴニアプロヴィジョンズでカーンザ加工製品を販売することにしたのだ。そしてHUBへのオファーへと至る。

ちなみに、製品名のLong Root ALEというのは、このカーンザが長い根を土壌に伸ばして複数年にわたった定着をするからだそうだ。

果たしてLong Root ALEの味は?

ビールのコンセプトは理解できたが、大切なのはこの製品が本当に呑める味になっているかということである。コンセプト自体に賛同が出来ても、通常のビールを呑みたいという場面で置き換えが可能になるものでなければならない。

Long Root ALEを容易に試せる場所としては、藤沢市にある湘南T-SITEがある。Long Root ALEの缶を取り扱っているところは探せばいくつか見つかるが、湘南T-SITE2号館にあるTable Oginoであれば樽生を試すこともできでしまう。湘南に住んでいて良かった。

それで、呑んだ感想。軽い感じでゴクゴク行けてしまう。小麦のビールっぽさはあまり無くて、悪く言えば凡庸なのだけれども、良く言えば癖が無い。いつものビールの代わり足りえる。

比較的癖の無い味に感じられたのは、商品コンセプト的にアウトドアの場面で呑んでもスッキリするように調整されているからであるそうだ。カーンザは原料の15%に過ぎず、20%で試作したら苦過ぎてパタゴニア側が駄目出しをしたというエピソードも。全量カーンザでビール作りというわけにはなかなかいかないのだろうけど、少しずつでも多年生小麦の活躍の場を増やすのに貢献できるのは良いことだ。良いことをしてビールがさらに美味い。

多年生麦ビールへの期待

今後全世界の麦が多年生のものに置き換わる緑の革命が起きるのかどうかはわからない。ただそこまで極論じみたことを考えなくても、穀物栽培の方法の選択肢が増え、栽培する地域毎に相応しいやり方で対応できるようになるのは良いことだ。

日本でもこうした多年生の麦の開発が行われているのか、調べてみると横浜市立大学の木原生物学研究所という機関がこれについて研究を行っている。そして木原生物学研究所といえば、ビール業界でも最近ニュースがあったばかりで、厚木市の地ビールメーカーサンクトガーレンにオファーをして、"KORNMUTTER麦畑の精霊"というビールの製品化にこぎ着けていた。同研究所で育てた二条大麦のミカモゴールデンをビールの原料とした製品であり、研究成果をビール業界に還元することに積極的なスタンスであるように見える。

国産の多年生麦ビールの登場、期待できるのでは。ビール好きが舌なめずりして待っています。