秦野でSEOなどしつつ神奈川県ネタブログ

秦野市でSEOしつつ、神奈川県ご当地ネタ・地域情報を書くブログ。湘南・小田急線・グルメ・温泉がマイブーム。

横浜金沢クラフトビールandグルメフェスタ イベント感想(前編)

10月の3連休に八景島シーパラダイスのアクアミュージアム前広場で開催された、横浜金沢クラフトビールandグルメフェスタ。同じ横浜市(と言っても、八景島はほとんど横須賀市のような位置であるけど)の赤レンガ倉庫では毎年恒例のオクトーバーフェストが開催されている時期だというのに、あえて新規にビアフェスを企画して集客を目論もうというのであるから、全く無謀勇敢である。そんな勇敢さと、あらかじめ主催者によって発表されていた参加ブルワー顔ぶれのレア感に誘われて、クラフトビールイベントのためだけに八景島に足を運んできた。

会場へのアクセスで遠回り

イベント会場のある八景島には、最終的に徒歩で上陸をする必要があると考えた(ビールイベントなので、車は使えない!)。ところがイベントのホームページや、八景島シーパラダイスのホームページでアクセスについて調べてみても、八景島駅までの行き方はあれどそこからどのように上陸するか、徒歩で何分くらいかかるのかなどについて書かれていない。そしてGoogle Mapsで見るかぎり、八景島駅で降りてしまうと目の前は海。鉄道駅からの最短距離を探すならば、金沢シーサイドラインの市大医学部駅から延々と歩いて島の真北から上陸する必要があるのだと結論付けた。

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結論としては、その結論は全くの間違いであった(笑)。Google Maps八景島駅方面から伸びる半島を拡大すると、薄い灰色で海の上に4本線が。橋が繋がっていて、その上を渡れるようになっている。

何故真北方面からの橋が太い線になっていて、八景島駅目の前の橋が拡大しないと出てこない線になっているのか分からないが、Google様のおかげで会場まで遠回りをする羽目になった。疲れた。早くビールが飲みたい!

イベント会場とステージの様子

イベントは入場料のかからない、アクアミュージアム前広場にて行われていた。広場中央にテーブルがあって、その両脇を連結した販売テントが囲むレイアウト。

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さらにその奥側にはステージが用意されており、アイドルやシンガー達が絶えず持ち歌を披露している。

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今回初開催のイベントなのに人出が沢山あるのは、シーパラダイス自体の集客力によるものが大きいだろう。年間パスポートやシニア料金などがあるおかげか、あまりビアフェスで見ない客層もあって新鮮だった。

地元グルメを堪能

クラフトビールandグルメフェスタというイベント名称のとおり、出店者は全国のクラフトビールブルワーと、地元グルメを中心とした屋台である。

フードは是非金沢区らしいものを見つけて食べようと思ってブラブラ歩いていたのだが、魚の練り物に昆布入りタルタルソースをかけて挟んだハンバーガーを発見。昆布は金沢文庫なだけに、文庫のコンブとして売り出しているらしい。

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主役となる海産物だけでなく、野菜やバンズも含めてクオリティが高く美味しかった。値段も500円と手頃だし、是非ご当地バーガーに昇格してもらいたい。

その他の地元っぽいグルメ。ビールのイベントらしく焼き鳥の屋台が出ており、食欲をそそる煙の臭いを発していた。そのラインナップの中に横浜金沢野島産海苔佃煮を使用した鶏もも串を発見。

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実際グルメにとってはちょっとした味付け程度であるが、こうして出店者が横浜金沢名物の名前を露出して宣伝することで、「横浜にも意外に名物があるんだ」とイベント参加者に認知してもらえる機会となるのだ。

地元グルメという点から言えば、このイベントに参加した結果シャーロンのスモールポテトパイも食べることが出来たのだが、それについては後編で、ビール部分のレポートとともに詳述しよう。

横浜オクトーバーフェスト2017 in 赤レンガ倉庫を覗いてきた

神奈川県内で行われるオクトーバーフェストの親玉みたいな、横浜赤レンガ倉庫での横浜オクトーバーフェスト。ドイツバイエルン州の本家オクトーバーフェストと同じように、がっつり2週間以上にわたって毎日開催されている。今年の開催は9月29日(金)〜10月15日(日)ということで、まだ1週間以上猶予はあるのだが、週末はさきのエントリで紹介したオクトーバーフェストKAMAKURAやら横浜金沢クラフトビール&グルメフェスタに行ってみたいだろう、ということで行けるうちにちょろっと覗いてくることにした。

平日のオクトーバーフェストは混雑無し

レポ日はカレンダー上平日、しかも週の中日ということで、みなとみらい駅から赤レンガ倉庫のある新港まで人の流れがあまり無かった。これが休日ならば赤レンガ倉庫以外にもカップヌードルミュージアムやコスモワールドなどに向かう人波で混雑していたに違いない。

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ほどなくして、赤レンガ倉庫に到着。赤レンガ倉庫の建物は明治政府によって保税倉庫として建てられたらしいが、平成になってその役目を終了した後、観光用の施設として再生されたらしい。

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では入場。列も皆無で快適。

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入場料の300円を払って、ヴィッテルスバッハ家カラーの水色と白のリストバンドを腕に巻く。

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会場の様子とバンド演奏

会場は道路側のゲートを入ってすぐの第1会場と、今年から出来たという海側の第2会場に分かれている。第1会場は屋根の無い屋外席とテント内の席があり、テント内中央にドイツバンドの演奏ステージがある。第2会場は小規模だがやはり中央にステージがあり、こちらの会場はビールが飲めない人も楽しめるように、カクテルなどを扱っている。ソファー席もあり。

第1会場屋外にも数店販売ブースがある。

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でも販売ブースがずらりと並ぶのは第1会場テント内だ。

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テント内中央では1日数回のタイミングでバンド演奏が。酔っ払った日本人がたくさん立ち上がって輪になって踊る。

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こちらは第2会場。入口でリストバンドの確認がされる。

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バンドの演奏は平日が1日5回。休日は6回。スケジュールは公式サイトのトップページに載っている。ただバンドが1バンドかつ演奏は20分程度で、しかも2会場に分けたことにより演奏している場面に会えることが非常に少ない。オクトーバーフェストの売りは音楽による賑わいでもあるので、バンドの数やステージ数を増やすなどして改善して欲しいと思った。

ビールを飲んだ。フードを食べた。

飲んだビールや食べたフードの一部紹介。ビールは大体500mlグラス単位で1000〜1500円というのが相場。でもそれだと沢山の種類が飲めないので、1200円位で飲み比べセットを出しているお店が狙い目。

我らが神奈川県のサンクトガーレンオクトーバーフェストに来てまで地元ビールを飲むのもどうかと思うけれど、一応会場限定ビールである。

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ハッカープショール。本場ドイツの醸造所の中で、唯一4種類の飲み比べセットを出していたんじゃないかな。

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クロンバッハ・プランクのブースにも飲み比べがあった。こちらは2000円台とちょっと高めである。

こってりアイスヴァイン!

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結局飲み比べセット制覇でギブアップしたので、オクトーバーフェストのシステムである醸造所の専用グラスをデポジット払って借りてインスタ映えする写真を撮る(で合ってる?)という体験はしなかった。

赤レンガ倉庫のオクトーバーフェストは高い?

このエントリの前の2エントリで地元のオクトーバーフェストビアフェスを紹介したけれども、それらに比べると入場料300円プラスビールやフードが1000円オーバープラスグラスデポジットという価格設定の赤レンガ倉庫オクトーバーフェストはひたすらに高く見える。

一応赤レンガ倉庫オクトーバーフェストの付加価値について考えてみると、本場オクトーバーフェストに出店するバイエルン州醸造所が勢揃いしているということであり、ビールが飲めれば種類は問わないという考えの人に全く恩恵はないだろう。

なお本場醸造所が出店しているという付加価値を差し引いても、価格設定はそれでも高いように思える。これらの醸造所が一同に会することは珍しくても、個別であれば各地のビアフェスで出会えないことはないし、その場合遥かに安い価格で出している筈である。

赤レンガ倉庫オクトーバーフェストの強気の価格設定の理由を、バンドの出演料に求める意見もチラホラ見るが、それも違うと思う。なにしろ今回会場音楽という面において全くクオリティの高さを感じることはなかった。音楽を価格設定の理由とするならば、もっと金をかけて会場のあちこちで様々な種類の音楽が絶えることのない状態にして欲しいもの。

本家の模倣を喝采しつつ乾杯せよ

ではどうして価格設定の高いオクトーバーフェストになっているのかというと、その理由は本家に近付けようとして平日の昼間の人が集まらない時間にも開け続けているためだろう。数年前には開催期間中に台風が直撃して平日の数日間オクトーバーフェストを中止したことがあったが、本音を言えば平日に中止できたのは、出店者にとってもありがたかったのではないだろうか。

というわけで、平日にも開け続けるという本家の模倣を殊勝なこととして評価する人であれば、気持ちよくビールとフードに高い料金を払うことが出来るイベントではないかと思う。私みたいなのは喝采が半分、なにもそこまでしなくてもという冷淡な反応が半分なので、あくまでミニマックス戦略でイベントを楽しみます(笑)。

神奈川10月ビアフェスの伏兵?横浜金沢クラフトビールandグルメフェスタ

オクトーバーフェストの開催が増えてきた。特に10月7日(土)からの3連休は、各地のビアフェス開催が被るのでしっかりと計画を立てて、取捨選択をしないといけない。そんな話を前回オクトーバーフェストKAMAKURAの紹介をしつつ書いた。

hadanon.hatenablog.com

横浜八景島で行われるクラフトビールandグルメフェスタ

前回エントリの話の流れは、ドイツバイエルン州の本家オクトーバーフェストローカライズしたドイツビールのイベントを楽しみたいのならば横浜赤レンガ倉庫に行くべきだし、赤レンガ倉庫で出店している横浜ビールとサンクトガーレン以外の神奈川クラフトビール(湘南ビールの熊澤酒造以外)を求めるならば鎌倉のイベント。熊澤酒造を求めるならば茅ヶ崎市にある同酒蔵の併設レストランに行くべしという話であった。

ところが今年2017年は、調べてみると意外なビアフェスの伏兵がやはり3連休に開催予定であるようだ。それが横浜八景島で3日間行われる、横浜金沢クラフトビールandグルメフェスタ。その伏兵具合たるや、神奈川のビールに別に興味を持っていないビールファンであっても、他のイベントを差し置いて参加したくなってしまうような出店者の顔ぶれなのだ。

開催概要や価格設定など

イベントの基本的な情報についてまとめてみよう。開催場所は横浜八景島シーパラダイスのアクアミュージアム前広場。シーパラダイスの各アトラクションを楽しむには入場料が必要だが、広場までであればとりあえず無料である。開催日程は10月7日(土)・10月8日(日)・10月9日(月・祝)で、土日は11:00〜21:00まで。月曜日は11:00〜17:00。

ビールについてはチケット制で、1杯200mlがチケット1枚350円に対応する(5枚単位から買える)。前売りチケット10枚つづりは3000円なので、クラフトビールが1杯300円から飲めてしまうというフトコロにも優しいイベントだ(同じ横浜の赤レンガ倉庫の1杯で何杯飲めるかっちゅう話ですよ)。

ビールと並んでイベント名称となっているグルメは、主に横浜市金沢区の店舗が参加している。ご当地グルメ的な軽い食事から、完全な飲み屋料理まで。その他復興支援で10月8日には被災地の秋刀魚が出るらしい。グルメの方の支払いは現金。

マイクロブルワーが多い出店者

クラフトビールの出店者だけれども、以下の名前が並んでいる。

ひゃあ!ほとんど知らない名前。それもそのはず、呼んできているのはほとんど醸造所のある地元にしか出していないであろうマイクロブルワーばかりだからである。妙に中国四国地方に偏っているのが引っかかるが、こんな一期一会なラインナップ、麦汁ならぬ脳汁が出るでしょ。

その他大手ビールメーカーではアサヒビールが飲めるようである。それにしても、普通のビールイベントではない。やはりオクトーバーフェストが同時多発的に開催される日程だからこそ、こういったニッチなニーズに応えるイベントも発生してくるわけだ。

ちなみにこのイベント、横浜市金沢区の区制70周年記念プレイベントと位置づけられているみたい。是非メモリアルイヤー関係無しに毎年企画して欲しいものです。

追記:行ってきたレポ書いた

その後、実際に行ってきたわけだ。秀逸なる前後編レポート!

hadanon.hatenablog.com

hadanon.hatenablog.com

鎌倉市のオクトーバーフェストKAMAKURA 10月7日・8日に開催

それにしても日本全国、様々な場所でオクトーバーフェストが開催されるようになったものだ。

横浜赤レンガ倉庫オクトーバーフェストは今年16回目

神奈川県で一番有名なオクトーバーフェストと言えば、やはり横浜赤レンガ倉庫オクトーバーフェストで、2017年は9月29日(金)〜10月15日(日)の17日間ずっとドイツビールの祭典が続く。同会場でゴールデンウィーク中に行うフリューリングスフェストと同じく、ドイツバイエルン州のビール銘柄を勢揃いさせて、その他地元の横浜ビールや神奈川県最大手のサンクトガーレンなども出店するイベントである。今年の開催は既に16回目であるらしく、神奈川県民がオクトーバーフェストと聞くと大体赤レンガ倉庫のものを最初に思い浮かべるほど浸透している。ドイツ音楽楽団によるステージもあり、本来のオクトーバーフェストに近付けようという努力がかろうじて見て取れる。

鎌倉市にもオクトーバーフェスト。今年で6回目

一方、バイエルン州の特定のお祭りではない、一般名詞としてのオクトーバーフェストも各所で勝手開催されている(3年前、2014年の県内開催状況をまとめた記事はこちら)。クラフトビールのメーカーが自社レストランで行う祭をオクトーバーフェストと称していたり(湘南ビールの熊澤酒造など)、自治体や街が観光イベントとしてビールメーカーを呼んでオクトーバーフェストの体にしていたり。

後者のタイプとして、今年6回目の開催を迎えるのが鎌倉市のオクトーバーフェストKAMAKURAだ。6回目というとやや新し目のイベントに聞こえるが、オクトーバーフェストが雨後の筍のように増えて各イベントで出店者や客の取り合いになってしまった結果、中止となってしまったケースが多いので、6回もイベントが続いているというのは貴重なベテランイベントなのである。

開催概要と出店ビール

開催概要。まず日程については全国オクトーバーフェストのメッカ的な日程である、10月7日(土)と10月8日(日)。7日は12:00〜20:00で、8日は11:00〜19:00となっている。場所は鎌倉市役所の駐車場。鎌倉商工会議所青年部主催なので、堂々と自治体バックアップのあるイベントなのだ。入場料は無料で、ビールの購入はチケット制1枚400円(昨年は350円だったけれど、それはまあ)。フードは現金購入となる。

出店ビール銘柄だけれども、地元の鎌倉ビール出店は勿論、神奈川県のクラフトビール銘柄が程よく揃っている。そして震災の復興支援も兼ねて、東北や西日本のビールも招待されている。

  • サントリー
  • 鎌倉ビール
  • 箱根ビール
  • 厚木ビール
  • さがみビール
  • いわて蔵ビール
  • 松島ビール
  • 猪苗代地ビール
  • 萩ビール
  • 不知火浪漫麦酒

この復興支援で呼んでいる銘柄が、あまり県内では見ないものもあったりしてこのイベントの特色となっている。赤レンガ倉庫のオクトーバーフェストに県内から出店しているのが横浜ビールとサンクトガーレンだけという状況に異議を申し立てたい県民などは、裏番組的なこちらのイベントに行って、ついでに東北と西日本の未知のビールとの出会いを期待するというのもよいだろう。地元支援&復興支援。

よなよなエールリニューアル 新旧の味を飲み比べてみた

日本のクラフトビール界でシェア的に圧倒している、長野県軽井沢に本社があるヤッホーブルーイング。1996年に星野リゾートの現社長である星野佳路氏が米国で飲んだエールに感銘を受けて設立した会社で、翌1997年より醸造・販売を始め今年で販売商品は20周年を迎えるという。そしてそれに伴い、同社の主力商品としていまやコンビニの棚を占拠するまでにポピュラーとなったよなよなエールの、パッケージと味をリニューアルすることとなったらしい。

よなよなエールは現在新旧の味が混合状態

飲食店向けに樽で販売するよなよなエールについては、新味への切り替えが同社直営店を嚆矢として9月11日から行われている。また缶のよなよなエールについては、同社直営通販サイトから先行販売分が9月8日より注文者の手許に発送されたほか、9月11日より成城石井で独占先行販売が開始され、その他の酒販店やコンビニ等では10月中旬頃までに新味と旧味の全面的な切り替えが予定されているという。

ちなみに同社通販は9月27日より新味に切り替え済み

 

旧味は10月中旬までにまとめ買いで確保の必要があるかも(※リンク先も予期せず切り替えの可能性あり)

 

つまり、新旧缶のよなよなエールを買ってきて、飲み比べ的なことを行うチャンスはまさに今だけである。飲み比べてみたエントリをブロガーに書かせてやろうという同社の広告戦略にすっぽり嵌まっているような気がするが、新味に全て切り替わって旧味を思い出せなくなってしまうことがないように、しっかりとそれぞれの感想を残しておこうと思う。

新旧よなよなエールパッケージの変更

混合状態であるならば、何気なく手に取ったよなよなエールの缶が新味なのか旧味なのか判断するのが難しいだろう。厄介なことに、新旧パッケージにはほとんど差が無いときた。そこで相違点を2者並べた写真で解説しよう。まずは表面。

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左が新味、右が旧味のパッケージである。新味の方が月の色が薄く見えるのだが、これは印刷上の誤差なのか、そこは判断がつかない。だが一点確実な相違点となっているのが、新味は下部の説明文がクラフトビールとなっており、旧味は香りのエールビールとなっている。よなよなエールがコンビニに並ぶようになるまではただのビールと思って手に取った客が大手メーカービールにない香りにビックリしないように、香りのエールビールという説明文を入れたかったのではないだろうか。一方クラフトビールがメジャーとなった現状では、コンビニのような一般販路に並んでいるということで大手メーカーの企画ビールと思われてしまわないように、クラフトビールであることを強調したいのかもしれない。続いて裏面。

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同じく左が新味、右が旧味である。旧味の方はポエミーで若干上から目線の指示書きが書いてある。それが新味になって、裏面も月を浮かべたデザインに変わり説明文が読みにくくなった。やっぱり文面はポエミーだが、客があえて読もうと思わなければ気付かれないだろう。

新味と旧味の比較。これは賛否が明白に分かれそう。

それじゃあ中身についても比較をしてみよう。果たして味の変化に気付けるのかどうかの腕試しも兼ねて、あえて新味の方から飲むことに。

これは、全然旧味と違う。大リニューアルだ。旧よなよなエールと比べて香りがスパイシーになって、味の余韻はスッキリではなくチーズのような残り方がする。ブラックペッパーが入ったおつまみ用のダイスチーズみたいな印象だ。少々玄人向けのビールになったのではないかと思う。委託醸造を行っているのはキリンビールである筈なのに、大手メーカービールで喩えるならばそこはかとないサッポロ臭がする。

一缶飲みきってから、旧味の方にも手を付ける。これは飲み慣れたよなよなエール。香りがとても立って、すんなりと最後まで同じ印象で飲める。よなよなエールが一般人をクラフトビールの道へと引きずり込むことができたのは、この分かり易さがあってこそのものだと思うのだ。クラフトビール好きにも悪くない印象を与えるし、ライトな酒飲みにも香りの良いチューハイのような感覚で受け容れられる。この味がもうなくなってしまうのはひたすらに惜しい。

ということで、今回の変更は賛否が人によって著しく分かれそう。と締めつつも個人的な心情としては旧味の方を持ちたい。旧味はクラフトビール入門者に凄く勧め易く、「とりあえずよなよなエールコンビニで買って飲んどけ」と考えなしに言えたのだけれども、これからどうしようか、といった新たな悩みも抱えることとなった。

HUB Long Root ALE 多年生麦カーンザ使用のエール

珍しい材料を使ったビールならば、無類のビール好きとして無条件に飛びつかざるを得ない。おまけにこのブログ、何故か小麦関係の情報(スペルト小麦カムット小麦)を求めて訪問してくる人達が多いものだから、今回の題材はそういった訪問者にも訴求力あるものであるはずなのである。とにかく、理由を用意して呑もう!

今回のビールは、HUB Long Root ALE!

というわけで、今回紹介するのはアメリカのオレゴン州ポートランドにあるブルワリー、HUB(Hopworks Urban Brewery)がリリースしたLong Root ALEである。

まず、HUB(Hopworks Urban Brewery)について

HUBと言えば、キース・へリングのアートのような力強い主線のロゴやラベル絵を用いるブルワーで、一言で表すならばとてもコンセプト重視なオレゴンのブルワーである。2007年の醸造開始からずっと、環境に配慮したサステイナブルなビール作りをテーマとして掲げており、醸造所兼レストランはブルドーザーのショールームとして使われていた既存の建物を流用し、なるべく再生材料を使用する形で作られた。そしてブルワーの1作目として発表されたOrganic Hopworks IPAから、オーガニック原料を使ったビール作りを続けている。

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HUBのこうした徹底的な環境重視の姿勢は、星の数ほどもあるオレゴンのブルワーの中で同社を際立たせる充分な材料となっている。ただそれ以外にも同社のコンセプトが光る分野は存在し、2011年に創業地と同じポートランドに立ち上げた2店目のブルーパブは、"BikeBar"という名前でポートランドのメジャーな自転車コース途中にあり、自転車に関連づけられた内装と多数の駐輪スペースを有する。そしてそうした自転車ライダー達へのアピールは、同社の様々なビールのラベルに描かれた自転車に関連するグラフィックなどにも見て取る事が出来る。


 

アウトドアメーカー"パタゴニア"ブランドのビール

そうしたコンセプト重視の同社に、アメリカのアウトドアメーカー、パタゴニアが新しく立ち上げる食品ブランドパタゴニアプロヴィジョンズの製品としてビールの共同開発を持ちかけた。結果出来上がったのが、Long Root ALE。こちらの製品もそれまでのHUBがそうであったように、画期的なコンセプトを持っている。

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原料の一部に多年生小麦"カーンザ"を使用

通常、ビールの原料となるのは大麦小麦の麦芽、そしてホップ。大麦小麦についてはその大部分が一年生であり、毎年畑に種子の状態で播かれ成長して実をつけると収穫され、栽培サイクルが終わる。翌年はまた畑の土壌を耕し直して、肥料を播いて播種することになる。

このように人類が知っている麦と言えば一年生というのが常識であり、それは世界各地の古い暦に毎年の麦の種まきタイミングを示す節目があるということからも分かる。古代小麦のスペルトやカムットであっても一年生なので、少なくとも数千年間人類は一年生麦に頼り切ってきたということがわかる。

パタゴニアが問題提起したのは、この一年生麦の利用が土壌の持つ本来の力を失わせ、肥料の投入なくては栽培が成り立たない仕組みを全世界的に作り上げているということ。化学肥料メーカーにとっては都合の良い話であるが、その土地とは関係ない遠い場所から持ってきた栄養で作物を作って、その分の栄養をまるまる遠い輸出先へと出荷してしまうという仕組みはサステイナブルであるとは言い難い。そこで、アリゾナ州のランド・インスティチュートというNPOが開発した"カーンザ(Kernza)"という多年生小麦の導入を促進するため、パタゴニアプロヴィジョンズでカーンザ加工製品を販売することにしたのだ。そしてHUBへのオファーへと至る。

ちなみに、製品名のLong Root ALEというのは、このカーンザが長い根を土壌に伸ばして複数年にわたった定着をするからだそうだ。

果たしてLong Root ALEの味は?

ビールのコンセプトは理解できたが、大切なのはこの製品が本当に呑める味になっているかということである。コンセプト自体に賛同が出来ても、通常のビールを呑みたいという場面で置き換えが可能になるものでなければならない。

Long Root ALEを容易に試せる場所としては、藤沢市にある湘南T-SITEがある。Long Root ALEの缶を取り扱っているところは探せばいくつか見つかるが、湘南T-SITE2号館にあるTable Oginoであれば樽生を試すこともできでしまう。湘南に住んでいて良かった。

それで、呑んだ感想。軽い感じでゴクゴク行けてしまう。小麦のビールっぽさはあまり無くて、悪く言えば凡庸なのだけれども、良く言えば癖が無い。いつものビールの代わり足りえる。

比較的癖の無い味に感じられたのは、商品コンセプト的にアウトドアの場面で呑んでもスッキリするように調整されているからであるそうだ。カーンザは原料の15%に過ぎず、20%で試作したら苦過ぎてパタゴニア側が駄目出しをしたというエピソードも。全量カーンザでビール作りというわけにはなかなかいかないのだろうけど、少しずつでも多年生小麦の活躍の場を増やすのに貢献できるのは良いことだ。良いことをしてビールがさらに美味い。

多年生麦ビールへの期待

今後全世界の麦が多年生のものに置き換わる緑の革命が起きるのかどうかはわからない。ただそこまで極論じみたことを考えなくても、穀物栽培の方法の選択肢が増え、栽培する地域毎に相応しいやり方で対応できるようになるのは良いことだ。

日本でもこうした多年生の麦の開発が行われているのか、調べてみると横浜市立大学の木原生物学研究所という機関がこれについて研究を行っている。そして木原生物学研究所といえば、ビール業界でも最近ニュースがあったばかりで、厚木市の地ビールメーカーサンクトガーレンにオファーをして、"KORNMUTTER麦畑の精霊"というビールの製品化にこぎ着けていた。同研究所で育てた二条大麦のミカモゴールデンをビールの原料とした製品であり、研究成果をビール業界に還元することに積極的なスタンスであるように見える。

国産の多年生麦ビールの登場、期待できるのでは。ビール好きが舌なめずりして待っています。

 

オート麦とスペルト小麦使用のベルギービール アーヴェルボーデ

クラフトビールが世界的に流行し、マイクロブルワリーが林立する時代になったことにより、世界中の誰にも把握しきれないほど、あまたのビール銘柄が世に存在する状況になった。そうなると生産者であるブルワーにとってみれば、数ある銘柄の中でいかに消費者の注目を集め、手に取ってもらえるかが重要となってくる。

それまで注目を浴びるビール銘柄というと、奇抜なラベルデザインのものであったり、あるいはいかにもビールの風味に合わないであろうフルーツ等を加えた飛び道具的ビールが目立っていた。ところがブルワーの戦国時代を迎えてしまうと、そういった飛び道具的ビールにもすぐに同コンセプトの競合製品が出てきてしまう。もっとマニアックなところで製品の差別化を行わなければならなくなったのだ。

古代製法とか材料の品種とかそういったマニアックなビール作り

その極致とも言えるのが、過去に作られていたビールの文献からの復刻とか、あるいは二条大麦ないし小麦+ホップという完成されたレシピを崩してのビール作り。そういう試みがあると耳に挟めばビールハンターはすぐに飛びつく。これまでも色々な試みを紹介してきた。

古代製法 ホップを使わないグルートビール
大まかな説明エントリうしとらブルワリーの若気競演を呑んでみたエントリ
スペルト小麦(ファッロ)使用ビール
大まかな説明エントリ
カムット小麦使用ビール
大まかな説明エントリ

アーヴェルボーデは復刻ビールかつスペルト小麦使用

ベルギーのヒューグ醸造所が作るアーヴェルボーデ(Averbode)もまた、一度製造が止まって失われてしまったビールを復刻したタイプのビールだ。アーヴェルボーデという銘柄は、修道院で作られていたアビービールというタイプになり、当の修道院は1134年にブリュッセルの北東に建てられたもの。かつてはビールの醸造に加えてチーズやパン、ワインの製造、出版事業なども行っていた。2013年にブランドを復活する形で外部の会社に製造委託を行い、チーズとパンとビールの製造を再開した。ビール部門を請け負ったのがヒューグ醸造所で、有名なピンクの象がラベルに書かれたビール、デリリウムなどを製造している会社である。


 

復刻に当たって、ヒューグ醸造所はただの古典ビール再現にとどまらない"攻め"の姿勢を貫いている。原料は2種類の麦芽、オーツ麦、スペルト小麦。それに4種類のホップを使い、ドライホッピングを行っている。

スペルト小麦の使用は、小麦アレルギーの回避のためというよりは、14世紀から始まった醸造では現代品種でない古代麦が主に使われていただろうという、製品のそれっぽさを出すためだろう。ただの復刻ビールよりも、ビールハンターのアンテナに引っかかり易い仕掛けにもなっている。

アーヴェルボーデを呑んでみました

そんな古くて新しいビール、アーヴェルボーデをたまたま見かけたので、購入して呑んでみた。

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修道院ビールの甘ったるい印象がなくて、モダンな辛口。青リンゴの香りが僅かにあって、スッキリと呑み易い。後からブワッと7.5%のアルコールがやってくる。パンにも合いそうだし、常飲用。でもこの辛みは何かの料理に合わせたい。瓶一本では足りない。もっとゴクゴク呑みたいと思えるビール。

マニアックだけれども、ぜひ人に勧めたい。このビールは個人的に当たり。