大山から鶴巻温泉への直通バス実証運行中 登山後温泉ドボーンが可能に
明治中頃だか大正始めだかの開湯以来、一時二時の隆盛はあれど基本的には箱根など他の温泉地に隠れて目立たない存在であった秦野市の鶴巻温泉。最近それでは勿体ないと気付いたのか、秦野市がお金をかけてPRのための設備を続けざまにこしらえている。たとえば駅前ロータリーに目立たなく湯が噴出し続ける手湯を造ったり、公衆温泉の弘法の里湯前には無料で入れる足湯を造り、また傍らに持ち帰りが出来る温泉スタンドを造った。
これらの設備はどれも個々の状態ではイマイチ決定力に欠けるというか、市民として費用対効果がどうなの?と問いつめたくなるような具合だったのだけれども、最近はまず駅の貧相な方の出口を高架化してペデストリアンデッキをつける工事をしていたり、また小田急線の車窓からちゃんと見える位置に鶴巻温泉をアピールする幟を出したりと段々個々のPR施策が繋がり、賑やかそうな温泉街を詐称できるくらいになってきた(良い傾向だ)。そして今度は、隣の伊勢原市の鉄板観光地である大山に便乗して観光客を吸い取れるよう、鶴巻温泉までの直通バスを実証運行するという、この欲張りサン♪良い傾向である。
大山ケーブル⇔鶴巻温泉駅直通バスの詳細
直通バスの実証期間は、11月3日(祝・金)から来年の2月4日(日)まで。この期間の土日祝(大晦日・三が日以外)に、鶴巻温泉駅発大山ケーブル行きが午前中2本、大山ケーブル発鶴巻温泉行きが1日8本運行される。
始点から終点までの所要時間は30分。運賃は310円(IC309円)で、途中国道246号三の宮バス停と大山駅、社務局入口などの山内各駅に途中停車する(詳細PDFリンク:秦野観光協会)。
鶴巻温泉駅発の2本は、大山に行くなら前泊に将棋タイトル戦が行われる格調高い旅館陣屋を筆頭とした鶴巻温泉の旅館を使ってね、という意図だろう。それに対して鶴巻温泉行きの方は満遍なく運行されるため、登山や大山阿夫利神社参詣の帰りに公衆温泉の弘法の里湯で垢を洗い落としていってね、公衆温泉はなんと駅徒歩1〜2分程度の場所にあるので、さっぱりしてそのまま汗をかかずに帰りの電車に乗れますよ、という意図なのだろう。特に後者の直通バスは、大山から下りてきて疲れた観光客に大きなアッピールが出来るであろうから、どうせなら露骨にカルシウムイオン含有量が世界でもトップクラスの名湯鶴巻温泉に疲れた体をそのままドボーンできますよ(このバスに乗らないとできませんよ)号とか名称を付けて、露骨な温泉マークなんかをつけたラッピングバスにでもすれば良いのである。海外観光地の客引きみたいな強引さだが、本当に海外観光客もやってくることを考えると、そのくらい強引で丁度良いのである。
鶴巻温泉駅北口広場で関連イベントも
このバスの出発地である鶴巻温泉駅北口広場では、紅葉の季節である11月中の運行日に合わせて、特産品の販売や観光案内、日向薬師の山伏による登山安全祈願など行われるという。そしてこの特産品の中には、いつの間にか出来ていた鶴巻温泉の名物、行者おむすびが含まれる。
行者おむすびは具の無い大きな塩むすび1個とおかずのセットを竹皮に包んだシンプルな見た目だが(なにしろ行者が持ち歩くという設定である)、その中に地元産の幻の米『さとじまん』や落花生、豚肉、はちみつなど鶴巻名物をギッシリと盛り込んだ一品である。秦野市名物というより鶴巻名物とでも言うべき品に陰謀論の妄想が止まらないが(次エントリで解説します)、大山に挑む登山者にこれ以上無いうってつけの活力源となること間違い無しではなかろうか。