オリーブ元年について感じるところ
小田原市曰くの今年はオリーブ元年!で触れたとおり、日本の食卓はだんだんと西洋化しつつあるらしい。主食が米から麦へとシフトし、それに従ってかつて和食の食卓に並んだ作物の出番は少なくなってきている。そして、和食需要にそった作物を大量生産・出荷していた農家は、廃業か作付転換かを迫られているのだ。まあ、ここ数年でそれが判明したとかいうことではなく、高度経済成長期以降の全体的傾向ではあるのだけれど、たとえば農家の代替わりが必要になった際など、先細り状態の市場を目の当たりにしつつ家業を継ぐという判断はしにくいだろう。ということで、2015年問題と同じような理屈で、問題が一度に顕在化するタイミングにもさしかかっている。
そこで、起死回生のためのオリーブ元年なのだろう。オリーブオイルは洋食に使われる食材で、またワインなどのアテとしても楽しまれる。西湘でとれる魚介類を加工する際にも、相性が良い。あとは、オシャレな洋食で使われるオリーブを栽培しているというと、みかん農家をやっていますというよりは見得が張れるかもしれない。というわけで、就農する若者の呼び込みという意味でも、オリーブ栽培のアピール効果が期待される。
ところで、前回も書いたと思うが、西湘の農家が旧来のみかん畑からオリーブに転作するという判断は、安価で輸入される海外産作物や、小豆島のような国内先行者との不利な競争を強いられるので無謀なことのように聞こえた。けれども、よくよく考えてみると、西湘ならびに湘南には潜在的に地元産原料を求める意識というものがあり、将来性は十分にあるのかもしれない。と、大磯市の出店者リストを眺めつつ思った。
神奈川県は農業関連の品種登録にそこそこ熱心であったり、かながわブランドという仕組みをつくり、農作物のアピールにも積極的だ。農業国神奈川として、EUにおけるフランスを目指すのもアリっちゃアリか。